毎日一語、中国語~リベンジ消費
まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます
リベンジ消費(revenge buying/revenge spending)
2020年1月以降、世界各国で流行した新型コロナウイルス感染症の拡大を阻止するため日常生活に課された制限への不満のはけ口として、人々が高額商品購入などの散財に走る現象のこと。
新型コロナをいち早く押さえ込んだとされる中国本土で起こった急速な景気回復を日本メディアが報じる際に、活況を呈するネット通販や爆買いに走る人民の光景とともに使用されている。
报复性消费
报复は日本語の報復と同じく「仕返しする」「復讐する」の意味。
同じような意味で报仇 ってコトバもあるが报仇性消费の用法は見当たらないので注意! 报仇は报复より深刻かつ正義のための行為といったイメージです。
「リベンジ消費」って日本のマスコミの造語かと思っていたら、中国語からの翻訳みたいですよ。2002年のSARS(重症急性呼吸器症候群)=非典がなんとなく終息したっぽい2003年、景気が急回復した時にも使われたコトバのようです。
2003年前後の上海総合指数。テキトー過ぎるチャートですが急回復したんだってことはワカル。
で、新型コロナに関しても、大陸メディアは2020年3月頃から早くも报复性消费を使い始めました。ただし、
- 报复性消费又来了?
- 这一次报复性消费有没有?
のように疑問形だったり
- 什么是报复性消费
のような解説でした。それが
- 准备好报复性消费吗?
のような期待感に変化し、ついに始まったのは2002年5月。五一劳动节(メーデー)の大型連休でした。2003年の报复性消费との最大の違いは、ネット通販。ライブコマースの盛り上がりもあいまって、淘宝、京东、苏宁、天猫などネット通販が大きく売上を伸ばしたこと。
実店舗については消费券(クーポン券とか地域振興券みたいなもの)による景気刺激策がとられましたが、これまた消费券のデジタル化が話題になりました。
5月商機を前に杭州市が配布した日本円換算で約267億円のデジタル消費券はアリペイ(アリババの電子決済システム)で受取れる仕組み。各企業も政府の支援を受けて様々なクーポン券を配りました。
「いや~、中国すごいねぇ」と洗脳されそうになりますね。でも実情はそうでもないらしい。
国内消費は2002年8月にプラスに転じたものの、10月の国慶節の大型連休中に国内旅行をした人の数は前年比2割減の延べ6億人強、観光収入は3割減の4600億元(約7兆3000億円)と低迷しました(数字はすべて大陸政府発表)。
参考:国慶節の大型連休、観光客数が前年の約8割まで回復(中国) | ビジネス短信 - ジェトロ
日本の報道を見ていると、コロナ終息が見えない各国をさしおいて、大陸だけ急回復のイケイケモードみたいに見えますが、やはり外需なしの完全回復はあり得ないんでしょうね。
GDPに占める個人消費の割合、中国は38.6%に過ぎません。ちなみに最大が米国66.5%、わが国は54.2%(2016年)。つうてもやっぱり政府発表数字だし、台湾も込みなのかな?
参考:第1部 第1章 第6節 (1)家計消費、物価の動向 | 消費者庁
要するに日本メディアが騒ぐほど、大陸の景気回復がすごいわけではありません。消費にしても6割は政府主導だってこと。それに、「リベンジ消費なんてしたことがない、できない」「うちの業種にはリベンジ消費はなかった」という声も上がっている点は日本と変わりません。だからこそ習近平政権は内需拡大!とはっぱをかけているわけです。
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コトバは生き物です。上記はあくまでも現時点で主流の言い方です。