しーらかんす式

音楽と日本語と中国語のブログ

毎日一語、中国語~半導体

まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます

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半導体(semiconductor devicese /chip)

はんどうたい

導体と絶縁体の中間の性質を持つ物質のこと。具体的には、シリコン、ゲルマニウム、セレンなどである。

しかし一般に「半導体産業」、「半導体不足」などと言う場合の「半導体」は、シリコンを用いた半導体バイス全般を指している

半導体バイスとは、半導体が使われている電子部品の総称。たとえば、IC(集積回路)、トランジスタダイオード、センサのことである。こういうものを作っている会社は、すべて半導体メーカー、半導体関連メーカーということになる。

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黒い四角いのは代表的な半導体バイスであるICです。

ただし、黒い四角い部分は入れ物であり、この中に半導体から作られたICチップが収まっています。ICチップにはトランジスタなど半導体部品がたくさん使われています。ICチップは半導体チップとも呼ばれています。

黒い四角い入れ物のことを「半導体パッケージ」と言いますが、中身のチップも込みで「半導体パッケージ」と言うこともあります。

また、入れ物+中身をすべて含めて「ICチップ」、「半導体チップ」と呼ぶときもあります。

とても分かりにくい!中国語ではどうなっているんでしょーか!

 

 

 

中国大陸
芯片 [xīnpiàn] /半导体 [bàndǎotǐ]

台湾
晶片 [jīngpiàn] /半導體 [bàndǎotǐ]

結論から言うと、中国語の解釈も混乱しています。

一般に半導体産業とか半導体メーカーと言う場合、中国大陸では"芯片"、台湾では"晶片"を使っています。"芯片""晶片"はどちらもチップのこと。

要するに、日本ではICの中身+入れ物を込みで言うのに対し、中国語圏では中身に重点を置いているということだね!

実は2000年頃、中山大学日本語学科の学生さんと話してた時、「中国はまだまだ遅れている」と悲しそうに言うので、「今や世界の工場じゃあないですか」と言ってあげたんです。そしたら、「でも中国には[xīnpiàn]を作る能力がない」と言うんです。

で、「[xīnpiàn]って何?」と聞いたら、「えー![xīnpiàn]知らないんですか?日本人なのに!?いろんな電気製品の中で一番重要な部分ですよ!」と驚愕されたんですけど…。後になって、あ~、半導体のことかぁ、と思い当たりました。

でも日中/中日辞書には、いまだに

"芯片"←→「半導体

とする解釈が載っていないので、今回書いておきますよ。まあ、半導体業界の人は皆さんご存知と思いますけど。

日本にとっての「半導体」は、中国、台湾にしてみると「ICチップ」

分かりづらいので再度まとめます。

  • 半導体」とはそもそも物質(シリコン)のことである。
  • 日本の一般社会では半導体を用いた電子部品のことを「半導体」と呼んでいる。
  • 大陸、台湾の一般社会で「半導体」を語る場合、ICチップを重視している。しかし実態は、半導体パッケージ込みのICチップのことを"芯片""晶片"と呼んでいるようなので、結局は「IC」のことである。
  • でも「半導体」が漢字であるため、日本の報道を受けて大陸、台湾の一般社会でも混乱気味。日本同様、"半导体"を「IC」の意味で使っていることもある。
  • 大陸では"芯片半导体"とつなげて「半導体」の意味で使っていたりもする。直訳すると「チップ半導体」となり、なんだか変。

なので

半导体紧缺,芯片巨头日进斗金半導体不足でICチップ大手に爆益」(鳳凰 2021-05)

みたいな見出しになっちゃうんです。別にシリコン自体は不足してないっつーの。

まあ日本はシリコンを用いた電子部品製造に必須の様々な技術を持っているので、守備範囲が広い。よって、上位概念的に「半導体」と呼ぶほうが便利なのかもしれません。

なぜ"芯片"と"晶片"なのか

ICチップは半導体ウェハー(シリコンウェハー)をカットしたものです。この半導体ウェハーを中国語で"晶圓" [jīngyuán]または"硅晶圓" [guījīngyuán]と言います。なぜなら半導体ウェハーの材料は"硅晶"(シリコン結晶)だから。

なので台湾の"晶片"は、素材から訳したコトバということ。

大陸の"芯片"は、中山大学の学生さんが言ってたように、「一番重要な部分」という意味で"芯"にしたんだと思われます。あと台湾への対抗意識?

報道に見る「半導体」の伝え方

たとえば、昨今話題の「半導体不足」については。

のように、すんなりと"芯片""晶片"を使っています。

また、だいぶ遡って「日米半導体交渉」はどうかと言うと

  • "美日半导体协议" (日米半導体協議)
  • "日美芯片大战" (日米ICチップ大戦争

みたいに割れています。

参考:全球汽车行业陷入芯片危机,带给中国什么机会? 「自動車業界を襲う世界的な半導体ショックは中国にとってチャンスか」(新浪 2021-01)

日本語も漢字だから、そのまま中国語にしたんだろうけど。

ちなみに、この「半導体不足」関連ニュース、英語圏でも"semiconductor shortage"”chip shortage"の2種類に分かれている!

なんだ、結局日本語の「半導体」のほうが汎用性高いってことですね。

 

 

コトバは生き物です。上記はあくまでも現時点で主流の言い方です。