毎日一語、中国語～アストラゼネカの新型コロナワクチン
まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます
アストラゼネカ製の新型コロナワクチン ／バキスゼブリア筋注（AZD1222／Vaxzevria ／Oxford–AstraZeneca COVID-19 vaccine）
英国のアストラゼネカ社とオックスフォード大学が共同開発した新型コロナウイルス用のウイルスベクターワクチンのこと。有効性は70.4%以上。
2021年2月15日、WHO（世界保健機関）はビオンテック／ファイザー製に続き、インドSII、韓国SKバイオサイエンスが製造するアストラゼネカ製ワクチンの緊急使用を承認した。また、超冷凍保存が不要であることから、COVAXファシリティの主力ワクチンになっている。
第3相試験で安全性と有効性が確認されているが、まれに起きる血栓症、血小板減少症などの副反応、生産体制の問題、供給の大幅な遅れなどから導入を中止する国も出ている。尚、EUがアストラゼネカ社を提訴しているのは、契約した量が供給されていないから。
日本政府は、2020年12月に１億2000万回分の供給を受けることで合意。うち、9000万回分は兵庫のJCRファーマが原液を製造し、第一三共、熊本のKMバイオロジクスが製剤化し、Meiji Seikaファルマが管理することになっており、3月から製造を開始している。
参考：アストラゼネカ 新型コロナワクチンを国内申請 保管・配送、安全性情報収集はMeiji Seika ファルマが | ニュース | ミクスOnline
- アストラゼネカ製の新型コロナワクチン ／バキスゼブリア筋注（AZD1222／Vaxzevria ／Oxford–AstraZeneca COVID-19 vaccine）
- 中国大陸牛津阿斯利康疫苗 [Niújīn Āsīlìkāng yìmiáo]
- 台湾阿斯特捷利康疫苗 [Āsītèjiélìkāng yìmiáo] ／AZ疫苗 [AZ yìmiáo]
中国大陸
牛津阿斯利康疫苗
台湾
阿斯特捷利康疫苗 ／AZ疫苗
日本が在庫してるワクチン、いつ台湾に届くんだー！と、ここ数日やきもきしておりました。言うだけ言って、結局ムリでしたー、とかになるかもね、と思っていたら、すごい速さで届きましたね。よかったよかった。
台湾政府は2021年2月、ドイツ、イタリア、韓国が製造したアストラゼネカワクチンの緊急使用を承認しました。いっぽう、中国大陸では未承認。香港、マカオでは承認されています。
不思議なことに、大陸と台湾ではアストラゼネカの表記が微妙に違うんですね。でも台湾では公式の場以外では、ほぼ"AZ疫苗"（えーずぃーいーみぁお）と呼ばれているので、気にしなくていいです。
尚このアストラゼネカ製ワクチン「バキスゼブリア筋注」は"病毒载体疫苗"ベクターウイルスと呼ばれる種類。ビオンテック／ファイザーやモデルナとは種類が違います。
台湾のワクチン確保状況はどんなものか
台湾政府が発注していたのは
- 英アストラゼネカに1000万回分
- COVAXファシリティに476万回分
- モデルナに505万回分
でした。これで約2000万回分。ここに台湾のワクチンメーカー2社が製造する1000回分を足せば、およそ3000万回分。
台湾の人口は約2300万人なので、反ワクチン派＋お子様が1/4くらいとすると…、やっぱり少し不足気味です。
で、6月3日までに実際に入手できたのは
- 2021年3月3日
11万7000回分 アストラゼネカ - 4月4日
19万9200回分 COVAX経由のアストラゼネカ - 5月19日
41万400回分 COVAX経由のアストラゼネカ - 28日
15万回分 モデルナ
参考：整理包／看台灣採購疫苗到貨進度表 莫德納、AZ又差異在哪？ 「台湾のワクチン入荷進捗をチェック モデルナとアストラゼネカの違いは？」（台湾聯合 2021-05）
納品率はアストラゼネカが1%、モデルナが3％くらい！
ちなみに台湾に到着したアストラゼネカは、COVAX分も含めてすべて韓国製。2021年6月5日時点で、一度でも接種した人の数は62万1000人となっています。参考：Coronavirus (COVID-19) Vaccinations - Statistics and Research - Our World in Data
大きな期待を寄せていた国産ワクチンも、3月完成、5月完成などと言われていましたが、予定がずれこんで、今は7月完成予定と言われています。
だから今回日本が送った124万回分を少ない！という人もいますが、まずは妥当な数だと思う。アメリカも700万回分送るって言い出したし。
蔡英文さんが言ってた民間との協力とは
ワクチン不足に加え、水不足、停電で批判にさらされている蔡英文総統。遅れているワクチン調達について
蔡総統、ワクチン調達は「民間と協力」（フォーカス台湾 2021-05）
と言っていました。
それは「無能政府（民進党）には任せておけない」という声が国民党とその支持者を中心に高まっているから。
たとえば
などが、独ビオンンテックや米ジョンソンエンドジョンソン、モデルナと直接交渉し、ワクチン買い付けると宣言しています。でも、交渉が難航したり、入手したワクチンが出所不明だったり、大陸産ワクチンだったりして、今のところ使用には至っていません。
日本から台湾に緊急輸送された124万回分
6月4日にJALの臨時便で到着したワクチン。台湾の報道を見たら、日本語でアストラゼネカ株式会社、大阪というシールが貼られていました。ワクチンの容器にもハングルはナシ。第一三共が製造した分なのかな？だとすると台湾は使用承認してないんだけど…。
ともあれ、台湾衛生福利部の陳時中部長によりますと、すぐに種々の検査に入り、順調にいけば1週間後くらいから接種を開始するとのこと。
今回の日本からのワクチン輸送について、台湾ネット民は中共政府の妨害を、かなり心配していたようで、「民間機で大丈夫？」という声も上がっていました。実際、中共の戦闘機が台湾の防空識別圏に進入してますからね。
で、ホントかどうか分からないけど、台湾行きのJAL旅客機を米軍沖縄基地の偵察機が追尾し、桃園空港に到着するのを見届けてから引き返したとか。
参考：【日疫苗援台】中國介入到最後一刻 日方傻眼：人命關天還扯一中 「日本のワクチン支援 中国がギリギリまで介入 日本は呆れ顔 『問題は人命、一つの中国を論じている場合か』」（台湾Up Media 2021-06）
そしてこれまでのところ、日本→台湾のワクチン提供について、大陸メディアはあまり人目に触れないようにしてるみたい。アクセスランキングとか検索ランキングに一切出てこない（6月5日時点）。でも一応報道はしてます。
参考：日本向台湾援助阿斯利康疫苗，台南市长第一反应竟是给日本侨民先打 「日本が台湾にアストラゼネカ製ワクチンを支援 台南市長『まずは在台日本人に優先接種』（環球時報 2021-06）
いずれにしろ日本は自分たちが使用禁止にして捨てるしかない使用期限間近のワクチンを台湾に送ったという論調ですが、違うからね！使用禁止になってないし、たぶん日本で製造したやつだから、使用期限も2021年10月！捨てる用じゃないからね！
Made in CHINAのアストラゼネカ製ワクチン
中国大陸メディアは、アストラゼネカ製ワクチンを、失敗ワクチンだの血栓ワクチンだのさんざんdisってます。清々しいまでのアストラゼネカ下げ、国産上げです。
参考：英国第三轮疫情爆发！阿斯利康疫苗被停用，或向中方购买疫苗 「イギリスで3回目の感染爆発！ アストラゼネカ製ワクチンを使用停止し 中国産ワクチン購入の意向か」（テンセント 2021-06）
とかね！まるで東スポのようだ。
ところがそんなdisりまくりのアストラゼネカとも、大陸はしっかり業務提携を取りつけています。
参考：康泰生物拿下阿斯利康新冠疫苗独家授权 年底产能将超1亿剂 「康泰生物がアストラゼネカ製新型コロナワクチンの独占的ライセンス獲得」（新浪財経 2020-08）
2020年8月6日、深圳康泰生物は、アストラゼネカ製新型コロナ向けベクターウイルスワクチンの開発、生産、販売についてライセンス契約を結んでいます。2021年2月には、生産工場を完成させ、年間4億回分を製造できる体制を整えたとしています。
参考：英アストラゼネカ製コロナワクチン、中国で工場完成 年間4億回分 | ロイター
康泰生物とアストラゼネカの販売契約は、香港、マカオ、台湾を含まない中国大陸全土。最近は変異株に中国産ワクチンが効かないという報道もちらほら出ています。これだけdisっているアストラゼネカ製を、あっさり承認しちゃうのかな？
関連記事 台湾の新型コロナワクチン問題で日本人が誤解しがちなこと1
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6月7日、最後の項を追記しました。
コトバは生き物です。上記はあくまでも現時点で主流の言い方です。
