毎日一語、中国語~中国の美容ブーム
まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます
中国の美容ブーム(China's beauty and cosmetics economy)
ちゅうごくのびようぶーむ
中国大陸で美容関連の消費が増え続けている現象のこと。
かつては日本で化粧品やシェーバーを爆買いする大陸観光客さんの姿が話題になっていましたよね。しかし、新型コロナにより、デパートの化粧品カウンターや家電量販店で大陸人民を見かけなくなった今も、大陸のオシャレさん達は美の追求に余念がありません。
美に関する消費を表現する新たな言葉も誕生しました。それはー
颜值经济 /美丽消费
"颜值"(顔面偏差値)については前に書きました。まあ「見た目重視」くらいの感覚で理解しておけばいいでしょう。つまり"颜值经济"=「見た目重視の消費行動」みたいな。
"美丽消费"は、女性に特化したコトバっぽいです。なので、男性も含めての「美容ブーム」なら"颜值经济"、「女性達の美容ブーム」なら"美丽消费"ですかね。
ひと昔前、大陸でメイクをしている女性を見かけることは稀でした。若い女性の髪型はだいたいポニテ。北京なんかは乾燥してるので髪の毛を洗う頻度も少なくて、なんか分け目が油ぎってたりしてました。夏場にバスに乗れば、いろんなタイプのムダ毛を観察できたりね。
でも時代はすっかり変わったようです。
急成長を続ける化粧品市場
颜值经济:美到底值多少钱?(「美容経済 美の代価とは?」新浪 2020-12)
この記事によると、化粧品の市場規模は2005年の1000億元超(約1兆7000億円)から右肩上がりで拡大し、2019年には5000億元(約8兆3000億円)に達したそうな。
とは言え、別に特別なことが起きているわけではなく
- 見た目に気を遣う女性が増え、スキンケア、メイク、ヘアケア、ボディケア、ダイエット、フィットネス、ファッション、歯の美しさ、エステ、美容整形などにおカネを使うようになった
- 職場でのマナーとしてメイクをする女性が約8割に達した
- 外出時にメイクをする女性が6割に達した
- スキンケア化粧品、美顔器などフェイシャルケア関連の消費が増えた
だけのこと。日本人から見れば、まあフツーのことだよね。
日本とちょっと違うのは、メンズ化粧品の売上げが急増してるってこと。しかもBBクリームやアイブロー化粧品なんかが毎年倍増ペースで増えているらしー。
中国で美容ブームが起きた理由
第一の理由は可処分所得の増加でしょう。一線都市、新一線都市の一人当たりGDPは10万元前後(約160万円)のレベルに達してますからね。
しかし大陸メディア的には
- SNSでの人気アカウント(KOL=key opinion leader)による発信
- ライブコマースでの人気MCによる実演販売
の影響によるところが大きいと分析しています。ふむふむ、韓国ブームとかの影響もありそうですな。
大陸でショッピング神とあがめられる人気ブロガーの黎贝卡 さん
Weiboアカウント、黎贝卡的异想世界のフォロワー数は700万超。
自ら買って試してみた化粧品や服、コーデ術などオシャレ情報をほぼ毎日がんがん発信している。
ネットセレブであるにもかかわらず「UVクリームを買いたいんだけど、おススメあったら教えて~」と読者に呼びかけるなどの親しみやすさで好感度も◎。
しかし、チャン・ツィイーやホアン・シャオミンなどビッグネームと親交があったり、その発信力を買われてシャネル、ルイ・ヴィトン、エルメスとコラボしたりなど、大陸オシャレ市場にものすごい影響力を持つスーパーKOLなのだ。
中国人民に人気の化粧品ブランドとは
新型コロナで影響で隆盛を極めているネット通販を見てみよー。
2020年、天猫の双11、化粧品売上ランキング
- 雅诗兰黛エスティローダ(アメリカ)
- 兰蔻ランコム(フランス)
- 欧莱雅 ロレアル(フランス)ロレアルブランドだけなのかは不明
- 后Whoo(韓国)
- Olay (アメリカ)
- SK-Ⅱ (日本)
- 雪花秀 Sulwhasoo(韓国)
- 资生堂資生堂(日本)
- 薇诺娜 Winona(中国大陸)
- 海蓝之谜 ドゥ・ラ・メール(アメリカ)
アメリカTUEEEEE!でも大陸女性はかなり移り気、というかコスメ系KOLのおススメにコロコロ左右されるので、この順位はしょっちゅう入れ替わる。それにしても国産ブランドは薇诺娜のみかぁ。
2006年、広東省の検疫は、SK-Ⅱに重金属が含まれているとして輸入禁止措置をとった。政治上の摩擦が今後、海外製化粧品に飛び火するか否か、注意が必要ですね。
今後伸してきそうなMade in Chinaコスメブランド
もちろん、中共政府が日米韓に席巻されている化粧品市場を放置しておくはずもなく、国産ブランド育成を重視している。
そんな国策化粧品ブランドを見てみましょー。ついでに天猫での化粧水1本当たりの販売価格も調査してみました。
薇诺娜/Winona
2008年設立。雲南省昆明の化粧品メーカー。敏感肌用のスキンケア化粧品が主力。
50ml=68元(約1,130円)
百雀羚 /Pechoin
1931年に上海で始まった老舗ブランド。キャラクターコラボで人気。新茶飲料のHeyTeaともコラボした。
100ml=140元(約2,330円)
相宜本草
中国三千年の漢方薬を応用したスキンケアが売り。と言っても2000年設立のブランド。上海中医薬大学と技術提携している。
120ml=45元(約750円)
HomeFacialPro/HFP
2014年設立。シンプルを追求する広州のスキンケアブランド。公式サイトには、日本の技術が使われているとあるが、詳細は不明。
380ml=199元(約3,310円)
简露 /Jane Dew
2015年、北京で設立された自然派化粧品メーカー。天猫での販売なし。
佰草集 /Herborist
1998年、上海で設立されたオーガニックコスメメーカー。国内で1500店超の実店舗を展開。
150ml=55元(約910円)
自然堂 /Chando
2001年、上海で設立された自然派コスメメーカー。 ヒマラヤの氷河から採取した水を原料にしているらしい。新茶飲料とのコラボも。
135ml=55元(約910円)
大陸では自然派コスメが人気なんですねえ。10年くらい前はファンケルが人気だったもんね。
しかし、どれもなかなかオシャレなパッケージで、ひと昔前の大陸化粧品とは大違い。日本や韓国への進出も視野に入れているらしいよ!
コトバは生き物です。上記はあくまでも現時点で主流の言い方です。