まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます
フィンテック(Fintech/FinTech)
英語の"finance"(金融)と"technology"(技術)を合わせた造語。金融サービスとICT(情報通信技術)を結び付けることで、新時代の金融サービスを創ろうとする革新的で破壊的なトレンドのこと。
"Fintech"という言葉は'00年代には米国で使われていた。しかし、2008年のリーマンショック以降、Google、Amazon、Apple、Facebookなど大手ICTやスタートアップ企業、起業家らが、に続々と金融サービス参入し、次々と新しいサービスを生み出すようになると、こうした動きを指して"Fintech"が盛んに使われるようになった。
金融科技
中国語圏共通で"金融科技"でOKです。そのまんまですね。
わが国でも5年前くらいに、盛んにフィンテックと言っていた気がするんですが、最近あまり聞かなくなったような…。でもフィンテックは確実に進んでいるみたいですよ。
以前から利用していた金融サービスがちょっと便利に変わっていたとしたら、それもフィンテックの成果かもしれません。
たとえば
- 個人資産を管理してくれるサービス
- AIが資産運用のアドバイスをしてくれるサービス
- モバイル決済
- インターネットで送金
- 保険のネット通販
なんかがフィンテックです。さらに、金融機関を通さずに資金の貸し借りができるP2Pレンディング、クラウドファンディングなど全く新しい金融サービスもフィンテックです。
このような新しいサービスの背景にあるのが、モバイルサービス、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、IoT、ブロックチェーンなどの技術。このへんは中国共産党政府が頑張っているところでもあります。
実際、スマホやQRコード決済の普及率だけ見ても、中国大陸はフィンテック大国。しかし中共政府が推進しているのはフィンテックとはちょっと違う独自の概念のようです。
その独自の概念とは……
互联网金融
です。
直訳するなら「インターネット金融」。なんだか一気に胡散臭い感じですが、そんなことはありません。中身はフィンテックと同じっぽいです。
でも中国人民銀行は
要划清互联网金融和Fintech的界限,Fintech要与持牌机构合作才能从事金融业务,并抛开表面属性,从业务模式出发进行穿透式监管。
央行划清互联网金融与Fintech界限 监管不留死角(「中央銀行 インターネット金融とフィンテックの境界を明確化」新浪 2016-07)より引用
インターネット金融とフィンテックの境界線を明確化しなければならない。フィンテックは、認可を受けた機関と協働しない限り金融業務を行うことはできないし、イメージを捨て去ってビジネスモデルの点から実質的な監督管理を行わなければならない。
と述べています。
要するに、インターネットを通じたP2P取引が際限なく拡大すれば、金融リスクが増す。だからそのへんは政府がきっちり監視していくよ、ということ。
この発言があった2016年頃は、ちょうどシャドーバンキングや投資型クラウドファンディングの巨額詐欺事件が問題化した直後でした。
「これまで様々な公的サービスが十分普及していなかった小都市でも、大都市と同等のサービスが受けられるようにしよう」という新型スマートシティ構想にとって、フィンテックは極めて有効です。でも行き過ぎれば金融不安を招きかねないということですね。
2020年にはアリババグループのフィンテック企業、アントの巨大IPOに待ったがかかりました。そして2021年2月には、スマホで簡単にできるキャッシングについて、融資枠の上限を引き下げる規制が発表されました。
参考:中国、オンライン融資の規制強化-フィンテック企業にさらなる打撃(ブルームバーグ 2021-02)
こういう話になると、大陸って何でも規制、規制だな!つまらん国だな!という気にもなりますが、習近平さんの基本的理念であるボトムライン思考(あらゆるリスクを想定して万全の対策を講じる)に則れば、合点がいくというものです。
コトバは生き物です。上記はあくまでも現時点で主流の言い方です。