毎日一語、中国語~ボトムライン思考
まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます
ボトムライン思考
最悪の事態を想定し、リスクを計算し、その状況を受け入れたうえで発展を目指そうという考え方のことで、中国共産党が国を統治するうえでの、最も重要な理念としている。
英語のbottom-line thinkingの中国版と思われます。たぶん。
底线思维
この言葉自体は名詞です。
どうして「思考」じゃないの?と言うなら、中国語の思考は動詞だから。
底线 は譲れない一線のこと。
たいてい次のような文脈で使われます。
- 坚持底线思维,做到有备无患
- 坚持底线思维,增强忧患意识
- 坚持底线思维,着力防范化解重大风险
いずれも、「譲れない一線を死守し、重大なリスクを想定して万全の対策をしましょう」 というような意味。
そう聞くと、新型コロナや米中摩擦のことを言ってるんだろうと思いがちですが、少なくとも2013年ごろから言ってます。
じゃあ具体的な中身は何?リスクって何を指してるの?と言うと
「備えるべき四つの事態」とか「確保すべき六つの安定」とか、中国の政治家や学者やマスコミがいろいろ発言しているので、興味のある人はググってみてください。
香港の問題で話題になった「一国二制度」も底线
今年の全国人民代表大会(日本の「国会」に相当)で、次のような発言がありました。
任何危害国家主权安全、挑战中央权力和香港基本法权威、利用香港对内地进行渗透破坏的活动,都是对底线的触碰,都是绝不能允许的。
- 香港問題における底线(譲れない一線)
「一国二制度」の「一国」、つまり「一つの中国」を指す。大陸、香港、マカオ、台湾はすべて中国だということ。 - 香港問題における重大なリスク
国の主権を損なう行為、政府と香港基本法に対する挑発行為、中国本土に対する破壊活動の画策を指す。中国共産党から見れば、香港市民の抗議活動がすべて該当することになる。
なのでボトムライン思考に則れば
「ひとつの中国という譲れない一線を死守し、香港市民の抗議活動というリスクに万全の対策を講じる」となるわけです。
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