【2021/01/01追記】
北京国際映画祭での上映情報を追加しました
約1か月前に劇場版「鬼滅の刃」無限列車編は中国本土でいつ頃公開されるのか、または公開されないのかを考察という記事を書いたところ意外にも検索で来てくれる人が多いので、せめてもの御礼ということで続報です。
中国報道:「無限列車編」の中国での公開 遅れる見通し?
12月19日、中華人民共和国(以下「大陸」)のニュースサイト、新浪に次のような記事を発見!
《好莱坞报道者》によると、12月4日に大陸で公開されたアメリカ映画「モンスターハンター」は、当局の指示により翌日5日に公開中止に。理由は中国人に対する差別的な内容を含むためとされる。
この件に関しては日本でも報道されたので、知りたい人は「中国 モンスターハンター」でググってみてください。
中国政府 「無限列車編」の上映許可を取消し 再審査へ?
続き。
これを受けて、中国電影局は審査の厳格化を決定。「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」、『劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] III. spring song』など批准済みの外国映画に対する上映許可を取消し、徹底的な再審査を行う。
記事によると「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」(以下、「無限列車編」)の上映許可、すでに出ていたらしいですよ?
「中国電影局」というのは
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編は中国本土でいつ頃公開されるのか、または公開されないのかを考察(後編)
に書いた広電総局のこと。テレビアニメ版「暗殺教室」や「進撃の巨人」を動画サイトから閉めだした、あの広電総局のことです(しつこい)。そこが「無限列車編」を許可したとはヒジョーに意外ですね!
- 猥褻、賭博、暴力または犯罪教唆を広く宣伝するもの
- 社会公共道徳または民族の優秀な文化伝統を害するもの
とされていまだにNGなんだから、そもそもテレビアニメ版「鬼滅の刃」からしてNGにしないとおかしいでしょ。
そして「上映許可を取消し、徹底的な再審査を行う」の文言。「上映許可を取消し」は過去形なので、すでに許可を取り消したということ。「徹底的な再審査を行う」は過去形とも現在進行とも未来形ともとれない書き方です。よって、再審査をする予定なのか、今しているところなのかは不明。
「無限列車編」は12月末~1月初めに中国本土で公開されるはずだった?
続き。
消息筋によると、「無限列車編」は12月末~1月初旬に公開予定だったが、『モンスターハンター』の一件を受け、全ての計画が台無しになった。「Fate/stay night [Heaven's Feel] III」も同様。
12月末~1月初旬に公開する予定だったそうですよ!
それにしては情報がなさすぎでしたね。当局が『モンスターハンター』を急遽中止したのは12月5日。公開初日の12月4日時点では差別的表現を見落としていて、翌5日に初めて気づいたわけですよね。で、すぐさま「無限列車編」の上映許可を保留にしたと。
12月末に公開するんなら、12月5日には映画館のスクリーンや前売りの手配を終えてるもんじゃないのか?いや、それは日本の論理であって、大陸なら突如公開とかもありなのかもしれないけども!
「無限列車編」 中国での公開は2月末~3月?
記事は以下のように結んでいます。
この2作品は、おそらく再審査をパスできるだろう。しかし長期にわたる審査プロセスにより、公開は大幅に後倒しになり、来年2月末または3月にずれ込むかもしれない。鬼滅ファンの皆さんはもう少々お待ちください。
以上。
この記事の元記事は、山東省済南で発行されている齐鲁晚报という日刊紙です。そして冒頭にも書いたように
《好莱坞报道者》によると
と、さらなるネタ元を明かしています。でも《好莱坞报道者》の全訳なのか抄訳なのか、はっきりしません。
上記報道には元記事があった
で、ネタ元の《好莱坞报道者》 The Hollywood Reporter を探し当てました!
…抄訳でした。
原文はかなり長い記事で、前半は8割がた新浪記事と同じ。後半は中国の愛国主義に翻弄される韓国芸能界の苦労をつらつらと書いています。ん?この記事書いた人って、半島系の人?と思って署名を確認したところ、Patrick Brzeskiとありますね。この名前からは何とも言えません。まいっか!
中国は旧正月に外国映画を上映しない
ともあれ新浪の記事は抄訳。中国の愛国主義を含め、都合悪そうな部分はカットしています。具体的には
この2作品は、おそらく再審査をパスできるだろう。しかし長期にわたる審査プロセスにより、公開は大幅に後倒しになり、来年2月末または3月にずれ込むかもしれない。鬼滅ファンの皆さんはもう少々お待ちください。
の部分。
The Hollywood Reporterの元記事はこんな感じです。
この2作品は、おそらく再審査をパスする。しかし長期にわたる審査プロセスにより、公開は大幅に後倒しになり、年末公開作品から外されるだろう。さらに中国当局は、旧正月商戦中(2月11〜26日)の外国映画上映を禁じている。そのため、「無限列車編」の公開は2月末または3月に持ち越される可能性が高い。
う~ん、 Patrick Brzeskiさん、かなりの中国通ですね!
旧正月休み中に外国映画が禁止って本当でしょうか?今年2020年の旧正月映画10作品を振り返ってみましょう。
うむ。外国映画は1本もないです。
ソースは 2020大年初一电影档期一览表(更新中)- 上海本地宝
「無限列車編」Blu-ray 発売されればソッコーでネット流出
The Hollywood Reporter記事の続きです。
日本では来年1月中に「無限列車編」のDVDまたはBlu-rayを発売する予定。そうなればすぐに高画質の海賊版がネットに出回ると予想され、大陸での興行成績に影響することは必至だ。
「無限列車編」のDVDかBlu-rayかぁ。2021年1月中に発売されるんですか?「鬼滅の刃 劇場版 DVD」でググってみましたが、まだアナウンスはないようです。
ってことは、大陸での劇場版公開後しばらくの間は、日本国内でのDVD、Blu-rayの発売を遅らせるって線もありそうですね。Blu-rayを待ってる鬼滅ファンには、とんだとばっちりですが。
以上が新浪記事+The Hollywood Reporter記事の概要でした。
「無限列車編」 中国政府審査の情報は本物か?
しかししかし、今回初めて知った
- 「無限列車編」は広電総局に批准されていた
- 「無限列車編」の公開予定は12月末~1月初めだった
- 「無限列車編」の公開はいったん保留。再審査を行うことになった
という情報。当の新浪はじめ、大陸のニュースサイトには一切出てないんですよ。つまりThe Hollywood Reporterの独自記事ってこと。
自国政府の内部情報を、ほぼ敵国のアメリカのニュースで知るって、おかしいよね?
てなわけで今回の続報の真偽は、The Hollywood Reporterの取材力次第ってことだけは理解しました。
「無限列車編」 北京国際映画祭で唐突に上映か
日本では全く話題になっていませんが、2020年12月、第11回北京国際映画祭が始まりました。
北京国际电影节公式サイト~日本映画ウィークの告知ページには、いまだに記載がありませんが、12月26日、唐突にチケット販売を開始。北京天幕新彩雲影城という映画館で12月30日、「無限列車編」が限定上映されたようです。
《鬼灭之刃:无限列车篇》首次在北京上映,无删减,但有一点遗憾_概率(限定上映鑑賞チケットの写真あり)
↑は、この上映を観たという人からの伝聞による記事であり、公式ではありません。しかし類似の記事を他に2、3見かけたので、どうやらこの話は本物らしいです。
「無限列車編」 映画祭限定上映バージョンとは
いくつかの記事情報を総合すると今回上映されたのは
- 12月30日の上映は、映画祭の限定上映だった
- 日本語音声+中国語字幕版だった
- 削除シーンはなく、完全な長さを上映したようだ(時間計ったのかね?)
- 黒塗りあり(おそらく暴力・流血表現)
というものだったようですよ。
で、ネット民の関心は次のようになっています。
- 黒塗りされていたということは、大陸で公開するバージョンのはずだ
- どの程度の黒塗りなのか?観るに耐えないほどだとしたら残念
- カットされるより黒塗りのほうがマシだから、とりあえずうれしい
- 正式公開はいつか?
う~ん、大陸アニオタさん達が気の毒になってきました;;
限定上映情報から公開日を再予想
さて、では今回の映画祭限定上映情報が本物だという前提で、「無限列車編」の大陸公開スケジュールを勝手に予想してみましょー。
2021年の旧正月日程
中国政府が発表した2021年旧正月連休は2月11日~2月17日の7日間。この前後の休日、2月7日と2月20日は振替出勤になります。
前述、The Hollywood Reporterは「中国当局は、旧正月商戦中(2月11〜26日)の外国映画上映を禁じている」としています。「26日」までとしているのは、新作映画の場合、封切りから2週間は様子見で上映続行ということですかね。
旧正月前の場合
これはかなり急がないと難しいです。「無限列車編」は大陸でも間違いなく初動はすごい動員になるでしょうから、遅れれば遅れるほど後に続く旧正月の新作映画(国産)に影響します。
とはいえ、1月の上映作品は国産映画だけでもすでに20作品以上が決定しています。うち国産アニメ映画が5~6作品はありそう。さらに12月31日には大陸で人気の高い宮崎アニメ『丘の上のポニョ』が封切られています。1月下旬には『若おかみは小学生!』が公開される予定です。
日本のアニメ映画が同時期の複数上映されること自体は珍しくありません。でも映画館のほうに余裕がなさそうですね。
旧正月後の場合
The Hollywood Reporterの観測を踏まえるなら2月27日以降ということになります。この時期なら映画館側も余裕が生まれそう。ただしこの時期、大ヒットシリーズ《唐人街探案》の新作公開が噂されてはいるようですが。
個人的に気になるのは、「無限列車編」盗撮版が、かなりの勢いでネット上に流出していることです。大陸1位の検索サイト、百度で 鬼灭之刃无限列车篇电影 を検索してみてください。盗撮動画が大量にヒットします。大手動画サイトは、違法動画を適時削除しているようですが、公開が遅れれば遅れるほど新鮮味が薄れるのは間違いないでしょう。
もうひとつ気になるのは、前述したように日本でのDVD/Blu-ray発売日との兼ね合いです。大陸の上映スケジュールのせいで、DVD/Blu-rayが後倒しになるとしたら、なんかイヤですよね。ビジネスの話ですから、そう文句も言えませんけど。
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