毎日一語、中国語~課金する(ネトゲ用語)
まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます
課金する(charge)
かきんする
オンラインゲーム、スマホゲームなど(以下「ネトゲ」)で特殊アイテムを入手したり制限開放するためにおカネを支払うこと。
昨今のネトゲは「無料で遊べる」、「基本プレイ完全無料」などのキャッチコピーでライトユーザーを集客するいっぽう、代価を支払ってもいいから強くなりたい、目立ちたいというヘビーユーザーのために有料アイテムや有料オプションを用意するのが常套手段である。
そのためゲーム内では、無尽蔵に課金しちゃう廃課金、課金厨、たまーに課金する微課金、まったく課金しない非課金などの人種が入り乱れてワイワイ遊んでいる状態となる。
「課金する」は本来、「料金を徴収する」の意味なので、運営側が使う用語。ユーザーは「課金される」と言うべきなんですが、ネトゲユーザーさん達は
- ちょっと課金しちゃった
- 運営め、また課金しやがって
のように、どっちの意味でも使っちゃってます。
中国語圏
儲值 /充值 /課金
中国大陸独自
氪金 /氧金
"充值"、"儲值"は「チャージする」の意味で、音的にも英語の"charge"に近い。プリペイドカードとかウォレット的なものにあらかじめおカネを入れる行為全般を指すため、ネトゲ用語ではありません。"值"を"錢" に置き換えて、"充錢"、"儲錢"と言ってもOK。
"課金"はお察しのとおり日本語由来の外来語。中国語では通常おカネは"錢"ですもんね。
"課金"は台湾、香港のネトゲ用語
"課金"は、日本語の「課金」が台湾に伝わり、その後香港に広まったとされるメジャーなネトゲ用語です。
ほら、"充值"、"儲值"は「チャージする」の意味なので、日常一般的に使うコトバじゃないですか。だからネトゲユーザーが共有できる新語として"課金"が使われるようになったんじゃないかな。そのせいか、"課金"は「ネトゲに課金する」の意味で使われています。
台湾、香港のオモシロ課金用語
ネトゲ経験者なら分かると思いますが、ほとんどのプレイヤーは非課金か微課金でそれなりに楽しく遊んでいます。
いっぽう、湯水のごとく課金するような人はごくごく少数。で、特殊アイテムを活用して俺TUEEEEEEしたりすれば、目立つし嫌われる、「たかがゲームに大金使うなんて痛々しい……」とさげすまれるなど不遇な扱いを受けたりします。
この現象は台湾、香港でも同じ。で、次のような侮蔑表現が誕生しました。
- 台幣戰士 、土豪 、重課
廃課金、重課金、課金厨、ネトゲ廃人のこと。詳しくは
毎日一語、中国語~VIP、プレミアムユーザー
毎日一語、中国語~廃課金、重課金
をご参照ください。
ところがネトゲ文化が成熟するにつれ「われわれ非課金は、廃課金のおかげでタダで遊べてるんだよ!廃課金に感謝だよ!」という声が上がり始めます。このへんも日本と同じw
そこで誕生したのが、廃課金さんに対する尊称
- 課長 、課長大大 、大課長
です。管理職の「課長」と掛けてるんですねー。
"大大"とは
ネトゲ内でよく見られる、ベテランらしきプレイヤーに対する呼びかけ。"大哥大姐"の縮め形とされる。
ゲーム初心者がチーム戦などの任務をクリアしたい。でもチーム戦参加者が集まってくれない、などというときに、"各位大大~求幫忙~~"「アニキ、アネゴ、手伝って~」と叫べば、どこからどもなくわらわらと助っ人が集まって来る。一種の処世術である。
または、特定のプレイヤーにつきまとわれた低レベルプレイヤーが、"你不要纏我!我後面有超100的大大啦!"「粘着すんな!俺にはLv.100オーバーのアニキがついてるんだぞ!」などとすごんだりしている。
"大大"はSNSなどでも使われているらしい。
さらに
- 感謝課長大大讓我們有遊戲玩!
「廃課金アニキ! ボクたちに(無料で)遊ばせてくれてありがとう!」
という定型句も誕生した。ゲーム内で一斉に言ってたら、なごみそう。
この他
などのバリエーションも誕生した。わが国ネトゲ用語の影響力、すごい。
大陸独自の「課金」表現
台湾、香港の影響で、大陸のネトゲユーザーにも"课金"を使う人々が出現しました。しかし、大陸版Wikipedia百度百科には、"课金"は明代の書籍や西遊記にある古代中国語と解説されてます。
まあそうなのかもしれないけど、現在チミたちが使ってるのは日本のゲーム用語としての「課金」でしょ!とツッコみたくなりますが、こういうことはよくあるんだよね。日本語由来だと認めたくないんかな?
そのせいか、"课金"は同音の"氪金"へと変化していきました。そのきっかけはー
"World of Warcraft"(WoW)の"Khorium Ore"
"WoW"(魔兽世界)は、大陸ゲーマー達が夢中になってる米国産の大規模MMO。eスポーツでも大陸勢が常に上位をキープしています。
その"WoW"に出てくる"Khorium Ore"という希少な鉱脈の中国語訳が"氪金矿" なんだそうな。
で、"氪金矿"を採掘すれば莫大な資金が手に入るので、皆さん"氪金矿"に夢中になり、そのうちプレイヤーやゲーム実況MCの間で、"氪金"と"课金"がごっちゃになっていった。そして"氪金"は他のネトゲでも使われるようになったとか、そんな感じに解説されてます。
WoW、私は全くやったことないので間違ってるとこあったらすみません。
そして、ふだん滅多に使うことのない"氪"の字を"氧"と誤認する人々が現れ、"氧金"、"氪金"の両方が、「課金」の意味で使われるようになったんだって。
大陸のオモシロ課金用語
- 氪金
大量に課金すること
語源の"氪金矿"がもともと希少鉱石の鉱脈だったからでしょうね。氪金"はそのへんの課金プレイヤーとは一線を画した大量課金を指すネトゲ用語です。
ちなみに氪"は、希ガス元素、クリプトン(元素記号kr)のことだそうよ。
- 氧金
やっぱり大量に課金すること
誤読から始まった"氧金"ですが、"氧"=酸素であったことから、課金しないと酸素不足で窒息死でもしそうな廃課金さんを指すようになりました。
- 氪金狗
これも廃課金、大量課金プレイヤー
WoWのゲーム実況などで"氪金矿"が出現した際の定型句、"亮瞎我的氪金狗眼!"「まばゆすぎて、廃課金の自分すら目がつぶれそうだ!」に由来しているんだと。
ただし"狗"ですからね。自嘲でなければ、かなりな侮蔑表現になっちゃいます。
その他
- 无氪 、非氪 、零氪
非課金のこと - 微氪 、小氪
微課金のこと - 骗氪
運営などに課金を誘導されること
などなど。尚、大陸の"氪金"は基本、侮蔑語なので、自嘲以外で使う時は注意されたし!
ネトゲ界では新語がどんどん誕生するので、またなんかあったら書くかも。
コトバは生き物です。上記はあくまでも現時点で主流の言い方です。