しーらかんす式

音楽と日本語と中国語のブログ

毎日一語、中国語~同調圧力

まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます

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同調圧力peer pressure

どうちょうあつりょく

周囲と違う考え方や価値観を持つ少数派が、所属する社会や集団から多数派の意見に合わせるように強要されていると感じること。

最近だと「うそー、鬼滅見てない人っているんだ」のキメハラとか「あー、LINEやらない人なんだ?」とか言われてヘコむことが同調圧力に当たる。(そうだ、LINEハラスメント、「ライハラ」と呼ぼう!)

同調圧力」という言葉が使われるようになったのは、'00年代後半以降と思われます。ホリエモンさんの登場や若手論客ブームみたいなものがあって、そこで賢い人たちが「同調圧力」と言っているのを聞いた気がするんですよ。

で、ここんとこまた「同調圧力」をよく聞くようになったなぁと思ったら、ここ1~2年で「同調圧力」を含む名前の本が何冊も出てるんですね。マスク警察とかポリコレについて書かれたものが多いみたいです。

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「日本社会は同調圧力が強い」、「島国でムラ社会だから同調圧力が形成されやすい」のように、日本特有の現象のように語られていますが、もとをただせば英語からの翻訳のようです。

ただし英語では、子ども時代に友達仲間の多数意見に流されて、喫煙、飲酒など、してはいけないことをしてしまうことを指すので、わが国とは使いどころが違うようです。

さて中国語ではどうでしょーか。

 

 

 

同伴压力 [tóngbàn yālì] /同侪压力 [tóngchái yālì] /同辈压力 [tóngbèi yālì] /朋辈压力 [péngbèi yālì]

中国語にもちゃんとあるんですね、同調圧力

"压力"の前に付く言葉は割れてますが、どれも同世代の仲間、同僚みたいな意味。やはり英語の"peer"からの翻訳っぽいです。

意味から訳せば"群众压力""趋同压力"でも良さそうだと思ったら、そういう言い方をしてる人もいました。

なので、テキトーに使ってOKだと思う!

そして周囲の視線とか、他人からどう思われるかとか基本的に気にしてなさそうな大陸の皆さんが、何を同調圧力と感じてるんだろうと思ったら、やはり日本とは違いました。

大陸人民が同調圧力を感じているのは、最近だとずばりWeChatのモーメンツ(タイムライン)です。

モーメンツにずらーっと表示されるリア充な写真や自慢コメントを見るたびに、仕事に疲れた非リアなわが身と比べて落ち込んでしまう……みたいなことに「同調圧力」が使われています。

日本だと、だったら自分も英会話やらなきゃ、ジムに通わなきゃ、オシャレな部屋に住まなきゃという方向に流されるんだと思いますが、人民はそこまで他人に合わせるわけではなく、ただ「ちっ」と舌打ちする感じみたいです。例外もあるでしょうけど。

でもよく考えたら、大陸人民って以前から"压力"という言葉が好きだった気がする。少なくとも90年代には、すでに"压力压力"言ってましたね。"现代都市生活压力越来越大"とか。いやいや、文革の時の"压力"のほうが、よっぽど大きかったんじゃないのと思いながら聞いてましたけど。

だから"压力"からちょっと言い方を変えただけな気もします。とりあえず

  • 英語の「同調圧力
    子供が友達グループのよくない風潮に流されてしまう
  • 日本の「同調圧力
    変わり者だと思われたくないゆえに、無理して周囲に合わせようとする
  • 大陸の「同調圧力
    他人のリア充っぷりを見て落ち込む

のように、国によって中身が違うんだなーと思いました。

 

 

コトバは生き物です。上記はあくまでも現時点で主流の言い方です。