しーらかんす式

音楽と日本語と中国語のブログ

毎日一語、中国語~タピオカミルクティー

まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます

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タピオカミルクティー(bubble Tea)

80年代に台湾で発明された飲料。アイスミルクティーに甘味料、でんぷんを固めて煮た球を加えたものが基本形。飲む(食べる)際には極太のストローを使用する。90年代に入り、香港、大陸に広まった。

近年はテイクアウトして持ち歩くオシャレな飲み物として、専門店が海外にも進出している。日本でも若者を中心に流行し、「タピる」(タピオカミルクティーを飲む)という言葉は2019年のユーキャン新語・流行語大賞に選ばれた。摂取過多による健康への悪影響も議論を呼んだ。

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珍珠奶茶 [zhēnzhū nǎichá]/波霸奶茶 [Bōbà nǎichá]

"珍珠奶茶"は縮めて"珍奶"でもOK。

"波霸奶茶"は台湾の"草蜢"というお店が考えた独自ネーミングでしたが、今はほとんど使われていないそう。ただし北米で華僑が経営するタピオカミルクティー店には、"Boba/Poba Tea"(波霸奶茶)または"Bubble Tea" (泡泡茶)の名を冠したものが多いんだそうな。

 

例のでんぷん球(タピオカ)とは?

材料

日本では「キャッサバ粉」と言われているが、中国語圏では

  • 淀粉 [diànfěn] でんぷん
  • 地瓜粉 [dìguāfěn] イモの粉
  • 木薯淀粉 [mùshǔdiànfěn] キャッサバでんぷん

など、自由に表示されている。このうち"木薯"(学名:Manihot esculenta)がキャッサバのこと。

呼称について

日本では「タピオカ」と言っているが、中国語圏では"珍珠"。台湾では

  • 珍珠 一般的な呼び方、意味は「真珠」。
  • 波霸 初期ネーミング"波霸奶茶"に由来。英語の"bubble"に発音が似ている。なんか強そうな字面のせいか直径7mm以上の大玉を"波霸"と呼んでいる。
  • 粉圓 [fěnyuán] 直径7mm以下の小粒のこと

のように、こだわりの分類がなされているらしい。

尚、黒いタピオカはやはりどう見てもカエルの卵なわけで、台湾でも"青蛙卵" [Qīngwā luǎn](カエルの卵)とか"青蛙下卵!" [Qīngwā xià luǎn!](カエルが卵を産んだ!)などと言われている。カエルの卵関連ワードを商品名やキャッチコピーにしている店もあるんだって。

タピオカミルクティー発展史

1983年、台湾の茶館である春水堂翰林茶館がほぼ同時期に、アイスミルクティーにでんぷん球を入れることを考案。(この二者は、いまだに元祖を争っている。尚、翰林茶館は真珠のように白かったでんぷん球に黒糖を加え、現行の"黑珠"を考案したとも主張している。)

80年代半ばに起こったアイスミルクティーブームにより、でんぷん球を入れたタピオカミルクティーが学生街や夜市で売られるようになる。

90年代後半、ある業者が使い捨てカップを密封するカップシーラーを導入。これにより、タピオカミルクティーをテイクアウトして持ち歩くスタイルが定着する。

台湾で形成されていたチェーン店が香港に進出。その後、ブームは大陸に波及し、様々なチェーン店が店舗を増やしている。

f:id:coelacanthidae:20210109150602j:plainwww.trdtea.com

  成都でチェーン店を展開する天然呆。ちょっ、そのネーミングーー!と思ったが、"呆"には「滞在する」「とどまる」という意味もあるので、natural stayと言いたいんだろうと納得しかけたが、urlは大陸オタク用語"TRD"(天然)になっている。どっちだ~!

広告で明星代言してる美女は关晓彤 [Guān Xiǎotóng] さん。すっごく背が高くてスタイル抜群!才色兼備のアイドル女優さんです。

上の写真、よーく見ると关晓彤の肩書のところが"代言人"(イメージキャラクター)ではなく"天然呆店长"(天然ボケ店長)!そんなでいいの!?

 

元祖を主張する茶館が特許を申請しなかったこともあり、タピオカミルクティーは非常に自由な創意工夫とともに発展している。本来は紅茶で作るべきところを、緑茶、鉄観音など別の茶葉にしてみたり、タピオカをコーヒーゼリー、仙草ゼリー、プリンなどに変えてみたりと日々バリエーションが生み出されている最中だ。

 

以上、タピオカミルクティーでした。私が使ってる辞書に載ってなかったので、今更な感じもしますが書いておきました。

個人的にはレモンティー派なので、タピオカミルクティーはあまり好きではない。でもココナッツミルクはわりと好きなので、タピオカと言えばこっちですね。

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"西米露" [xīmǐlù] もしくは元祖"粉圓"。日本語で言うとタピオカココナッツ。おや?これも辞書に載ってないな。

でも広州にいた2001年頃はたまに飲んでました、タピオカミルクティー。広州は香港に近いから、流行りものが入ってくるのがわりと早いんですよね。

あと、その頃北京には台湾資本らしき喫茶店がありまして、メニューにはタピオカミルクティーもありました。そのお店、椅子がブランコになってるんですよ。お客はぶらぶら揺れながら飲んだり食べたりしてるという。不思議な光景だったなー。

あの不思議喫茶店、きっともうないだろうな。今は大陸でもテイクアウトor持ち歩きが定番みたいですもんね。「いち早くコロナを押さえ込んだ中国では~」って、タピってる行列がニュースで紹介されてるくらいですから。

 

 

coelacanthidae-style.hatenablog.com

コトバは生き物です。上記はあくまでも現時点で主流の言い方です。