毎日一語、中国語~ペットロス
まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます
ペットロス (pet loss)
可愛がっていたペットを失った後、悲しみや後悔の気持ちが長く続くこと。
丧失宠物症候群
英語からの直訳ふう。または日本語のペットロス症候群からの翻訳かもしれません。
おそらく台湾発の新語ですね。なぜなら症候群、シンドロームを大陸では "综合症" と訳すのがふつうだから。
つい先日も、イヌネコのブラインドボックス商法がテレビで報道されていましたが、中国大陸のイヌネコブームは、ますます盛んなようですね。
私が北京に滞在していた2000年頃、歩道橋の上で子犬を売っている人を、よく見かけました。子犬を抱っこしたまま通行人に声をかけるスタイル。あきらかに違法な感じ。公安が来たら、すぐ逃げられるように、「いや、散歩してだけだし」とか言い訳できるようにしてるんだよね。
実は大陸には、いまだに動物保護法、動物愛護法みたいな法律がありません(2021年5月時点)。ペットの販売や飼育に関しては、各地方政府が個別に規定を設けている状態です。
5月31日に追記
アジアゾウが雲南省をのっしのっしと歩いているニュースで気になったので補足。大陸にペットを守る法律はありませんが、野生動物保護法はちゃんとあります。まだまだ不備が多いみたいですけどね。
1989年に施行され、以降何回か改訂されています。ただし日本の動物愛護管理法みたいな法律は、2021年5月時点でありません。
北京市严格限制养犬规定(已废止) 「イヌの飼育を厳格に制限する北京市規定(撤廃)」
これは過去の規定ですが、かつてはイヌを飼う場合、初年度は5000元、翌年以降は毎年2000元の登録料が必要だったようです。5000元は現在(2021年5月)のレートだと84,700円。高い!
このほか、イヌを外に連れ出せる時間や場所が制限されていたり、一世帯当たり1匹しか飼えなかったりと、なかなか厳しい内容でした。だから歩道橋のイヌ売りが出現しちゃうんですね。
2021年時点では、初年度1000元(約17,000円)、翌年以降毎年500元に緩和されています。でも北京や上海では、飼えるのは一世帯1匹だけ、大型犬は禁止などの制限あり。
それでブラインドボックス犬の通販業者が暗躍してるんでしょう。まあ大陸では飼い犬が通行人に噛みつく事件が頻繁に発生するので仕方ないっちゃ仕方ない。
イヌネコを飼う人が急増し始めたのは2010年くらいと言われています。てかそれより以前のデータが見当たらないだけなのかもしれませんけど。2010年の飼育犬の登録数は約1万匹でした。その後どんどん増えて2019年には5500万匹と言われています。
この2010年という時期は、ちょうど若者の一人暮らし世帯が急増したとされる時期。急増したイヌネコ飼いさんの半数以上が'85年以降生まれの、一線、二線都市で一人暮らしをしているホワイトカラーの女性とされています。
最近はネコを飼う人が特に増えているそうです。日本のネコノミクスの影響もあるみたいですが、ネコだったら北京、上海みたいな大都市でも飼育制限がない、登録不要という点も人気の理由と思われる。
イヌネコを飼う理由で多数を占めるのが「さびしいから」、「癒しが欲しいから」。しかも一人暮らしの女性ですからねー。で、ペットロスという新語が使われだしたということかな、と。
そして、ペットを失った悲しみを埋めるビジネスも登場しました! そう、クローンペットです。
Sinogeneは2012年設立、大陸初のイヌネコクローン製造販売企業。クローン製造代金は
- 中小型犬1匹22.25万元(約377万円)
- 中大型犬1匹30.3万元(約514万円)
のところ、現在セール中。
- 中小型16.8万元(約285万円)
- 中大型23.8万元(約403万円)
だそうですよ。
セール期間は2021年5月31日まで! 興味のある人は、北京希诺谷生物科技有限公司专注_宠物克隆_克隆犬_克隆猫_宠物基因检测_宠物细胞克隆_宠物细胞保存 (Sinogene公式サイト)をどぞー。
あと日本語では、ふつう「イヌネコ」と言いますが、中国語では"猫狗" のようにネコを先に言います。理由は不明(前に中国語ネーティブに聞いたけど「知らん」と言われた)ですがー
- 中国語圏では伝統的にイヌの地位が低かった
- "狗猫"だと"狗毛" とまぎらわしい。
からではないかな。(適当)
"狗毛"(イヌの毛)は中医学の薬の材料になるそうです。火傷→そのまま貼る、マラリア→煎じて飲ませる、そうです。
参考:狗毛,狗毛的功效与作用_中药狗毛_狗毛是什么_狗毛的用法用量_A+医学百科
コトバは生き物です。上記はあくまでも現時点で主流の言い方です。