しーらかんす式

音楽と日本語と中国語のブログ

毎日一語、中国語~タイムセール

まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます

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タイムセール /タイムサービス(limited-time special offer /flash sale)

時間を限定して投入したお買い得商品を先着順で売る作戦により、買い手の購買意欲を煽りまくる販売戦略のこと。

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もともとは八百屋さん、魚屋さんやスーパーマーケットなどの店頭で、にぎやかな呼び込みとともに行われるものでしたが、今やネット通販のイメージですよね。1年365日、どこかのサイトでタイムセールをやってるような…。

売り切れ御免!今だけ!早い者勝ち!残り〇〇分〇〇秒!出血大サービス!店長暴走!などの表示についつい熱くなりがちですが、誇大広告には注意しましょー。

 

 

 

秒杀 [miǎoshā]

秒殺(びょうさつ)です。ネット通販のタイムセールのことです。

大陸版Wikipedia百度百科によると日本のゲーム「STONE AGE」に由来する新語なんだって。

  「STONE AGE」とは

1999年にリリースされた日本のMMORPG

f:id:coelacanthidae:20210518230256j:plainstoneage.com.tw

舞台は石器時代。可愛らしい絵柄ながら本格的なMMORPGとして1999年にスタートしたが、2010年にサービスを終了した。

しかし中国語圏での人気が衰えることはなく、なんと今日も続く長寿サービスになっている。台湾での運営は陶朱科技、大陸では杭州悦玩网络科技

  「秒殺」の由来とは

「STONE AGE」は、敵にエンカウントし戦闘が始まると、バトル終了までの残り秒数がカウントダウン表示されるシステムを採用した。残り秒数に応じて大技を発動することができたり、カウントダウン開始直後に敵を瞬殺する強者が現れたりしたことから、プレイヤーは秒数を意識するようになったらしい。

そのうち、PKの際に"我秒你"(数秒で決めてやる)、"又被秒杀了"(また数秒でやられちゃった)などの会話が行われるようになる。この「数秒で決着がつく」的な表現が、後にネット通販のタイムセールに使われるようになったらしい。

「秒殺」のルーツを2001年リリースの韓国産ゲーム「Red Moon」とする説もあるが、私はどっちもやったことがないので真偽は不明。

なんかワケの分からないところがネット通販のタイムセールとつながっていますが、これもIT業界と消費を担っているのが、ともに若い世代だということでしょうか。

中国大陸流、タイムセール必勝法とは

大陸ネット通販のタイムセールと言えば、やはり独身の日セールが連想されますよね。早い者勝ち、数量限定で投入されるお買い得商品をゲットするためには、熾烈な競争に勝たなければなりません。

このように"秒杀"にチャレンジする買い手は、"秒客" [miǎokè] と呼ばれています。

超人気商品のタイムセールの場合、買えるか買えないか、勝負の分かれ目は0.1秒、0.01秒レベルの差なんだとか。本当にお買い得な商品を手に入れるのは至難の業ということになります。

こういう状況になると決まって登場するのが代行屋さん。手数料を払えば、お客に代わってタイムセール商品をゲットしてくれるそうですよ。こういう代行屋、つまりプロの"秒客"は、人海戦術だったり、高性能なネット環境やパソコンを駆使したりして0.1秒、0.01秒レベルの勝負をモノにするワケです。

そうなると一般の"秒客"に、まず勝ち目はありません。で、プロの"秒客"に代行を依頼する→一般の"秒客"がますます買えなくなる→仕方ないからプロの"秒客"に代行を依頼する→一般の"秒客"がもっと買えなくなる(以下省略)という無限ループが完成。とっても大陸っぽい!

大陸の独身の日セールは、売上もスゴイけど、キャンセルや返品も半端ないそうな。その原因は、プロ"秒客"の大量参入にもありそうですね。で、ゲットしたお買い得商品を転売すれば、手数料を差し引いてももうかる、と。

本来のタイムセールの中国語

"秒杀"は昨今、隆盛を極めているネット通販でのタイムセールを指す新語。でも、昔ながらのリアル店舗でのタイムセールだってあるわけです。その場合は、昔からある「セール」に"限时"(時間限定)を付けて

  • 限时特惠 [xiànshí tèhuì] 
  • 限时特价 [xiànshí tèjià]
  • 限时优惠 [xiànshí yōuhuì]
  • 限时抢购 [xiànshí qiǎnggòu]
  • 限时折扣 [xiànshí zhékòu]

などと言いましょう。この言い方はネット通販でも使われています。

言い方、いろいろありますが、これはお店や形式によってネーミングが違うだけのこと。「楽天スーパーセール開始1時間限定タイムセール」とか「Amazonタイムセール祭り」みたいなもんで、人目を引ければなんだっていいんです。

なので、上の言い方を組み合わせたり、入れ替えたり、トッピングしたり、いろいろアレンジしてもOK。"紧急通知!秒杀限时抢购大甩卖 促销大活动!!"とかね。

"秒杀"にも"限时"を付けて、"限时秒杀"としている場合もありますが、もともとが「秒殺」なんだから、それを"限时"するのはヘンですよね? でも"限时秒杀"、よく見かけます。

 

ゲーム用語が転じてネット通販のタイムセールを意味するようになった"秒杀"。それが再びゲームに逆輸入されてたりもしています。たとえば、時間限定で課金アイテムを値下げする場合も、"秒杀"ですよー。

 

 

 

コトバは生き物です。上記はあくまでも現時点で主流の言い方です。