毎日一語、中国語~ネットアイドル、インフルエンサー、ネットセレブ
まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます
ネットセレブ /ネットアイドル /インフルエンサー /KOL(online star /internet celebrity /social media influencer)
主にインターネットで人気を集めている人たちのこと。
わが国ではYou Tube、Facebook、インスタグラム、Twitter、Tik Tokなどで多くのフォロワーを持ち、再生、閲覧されている人を指す。
とはいえ、小学生のなりたい職業の上位に入っているのは「ユーチューバー」だけですね。You Tube以外は眼中にない、ってか広がっていない感じですかね。
参考;日本FP協会まとめ 2020年小学生の「将来なりたい職業 共同通信PRワイヤー
网紅 /网络红人 /网络大咖 /大V /意见领袖
昨今よく使われている言葉が、"网络红人"の縮め形、"网红"です。"红人"は辞書に載っていて「人気者」の意味。その人気者のネット版なので"网络红人"というワケですね。
"网红"は中国大陸発の新語みたいです。香港、台湾でも"網路紅人" を使っているのをたまに見かけますが、大陸ほど広まってないっぽい。やはり日本と同じくYouTuberで事足りるしね。
"網紅"がつくり出した"網紅経済"
"网红"は大陸にWindows PCが普及していった2000年前後から存在していましたが、一気に盛り上がったのは、やはり4Gスマホが普及しライブコマース(ライブ通販)が始まった2016年ごろ。テキストや画像による発信が、動画やライブ動画に変化しました。
で、こいつぁ~カネになる!つうことで、スポンサーが付きます。"网红"も起業して有名無形のモノを売り始めます。さらに企業と提携して商品を宣伝したり、売ったりするカタチが定着し、現在に至るワケですね。
このように"网红"を中心に形成された経済は、"网红经济" と呼ばれています。
ネットで盛り上がってるなら、なんでも"網紅"
You Tube、Instagram、Facebook、Twitterなどが規制されている大陸には、それの代用みたいなネットメディアがいろいろあります。それらのメディアで盛り上がってる人、つまり好感度(以下、"流量")を大量に稼いでいる人なら誰もが"网红"ってことらしいです。
ライブ動画、ふつーの動画、ブログなど、"流量"を集めていてフォロワーがいっぱいいれば、"网红"です。
"網紅"の収入源
大陸では「半端なく稼いでいる人たち」というイメージの"网红"ですが、その収入源はと言うとーー
- ネットを通じて、動画、音楽、画像、テキスト、プログラムなどを有料で売る
- フォロワーや"流量"を稼ぐことでサイトから得られる報酬
- 通販サイトに出店して自作商品や仕入れ商品を売る
- 企業とコラボして商品を販売することで得られる契約金や割前
- 企業とコラボしてイメージキャラクターになったり、商品をおススメして得られる報酬
- フォロワーや視聴者からの投げ銭
- モデル料、原稿料
というのが一般的。さらに人気のある"大网红" とか"超级网红" になると
- 起業して会社を運営し、スポンサー、出資を募る
- テレビ番組、Web番組、イベントなどの出演料
- ドラマ、映画、ゲームなどの出演料
- 地方政府の依頼で観光大使とかになって働き、得られる報酬
のように多岐に渡っています。
起業して多くのスタッフを雇ってる"网红"もいますが、その手前くらいの"网红"なら、在庫を持って商品を売るんでもなければ、必要経費はサイトの利用料+αくらい(人にもよるでしょうが)なので低コスト、低リスク。ヒジョーに効率がよさそう!
"網紅"には侮蔑っぽいニュアンスもあり
"网红"のタイプはさまざまですが、世間からは見た目がよくて、チャラチャラしたメイクや服装をして、カメラの前でペラペラしゃべってるだけの連中というイメージで見られる傾向もあるみたいですね。チベットのワイルド可愛い系、丁真さんも一部からバッシングされてるし。
非リアから見れば、"网红"はまさにリア充!頭は空っぽなくせにモテモテだし大金稼いで派手な生活しやがって~(男女問わず)という、やっかみもあるかもしれぬ。
いずれにしろ"你算是个网红?"「あなたは網紅ってやつですか?」とか不用意に聞かないほうがいいかもしれぬー。
でも"网红"だって努力してると思う。なにせ"网红"は人気商売。流量とファンの数が結果を左右する厳しい世界です。きっとものすごい努力をしてるんだと思うよ、見た目チャラいけど。それに自然災害とか起きるとものすごい額をぽーんと寄付したりしています、見た目チャラいけど。
そんなワケで"网红"は、堂々と自称するものではなく、周囲が勝手にカテゴライズするものらしいです。
"網紅"のジャンルはやはりエンタメ、バラエティー路線が優勢
"网红"のジャンルは種々雑多です。何らかの商品を売る人、商品を宣伝する人、パフォーマンスを見せる人とかいろいろ。
具体的には、音楽、ダンス、トーク、お笑い、実況、美容、自虐、大食い、ゲテモノ食い、旅行観光、料理、アート、ゲーム実況、報道(政治以外)、評論、教育などなど、これはどの国でも一緒か。
でもおカネざっくざく稼いでる"超级网红"はと言うと
- ライブコマースのMC
- オモシロ系動画の制作者
- 歌手やダンサーなどアーティスト
- eスポーツ選手やゲーム実況MC
なんかですね。
しかーし!これまでとは一線を画す"超级网红"もいらっしゃいます。
LOHAS+伝統文化の癒し系"網紅"の李子柒さん
時代劇のワンシーン?と勘違いしそうな情緒あふれる画を配信している李子柒 [Lǐ Ziqī]さん。出身地の四川省から、美しい自然、四季、農作物、料理、生活などの風景を丁寧に発信しています。
余分なBGMは排除し、おしゃべりもほとんどナシ。山林を歩く足音、水流の音、包丁の音などが静かに響くなか、伝統の衣装を着て素材を収穫し、調理をし、食事をする様子を淡々と映しています。
発表の場はWeiboですが、広告は一切挿入せず、時間がゆっくり流れていくような雰囲気を大切にしているようです。
そもそも李子柒さんは、自分で企画した食品をタオバオで売っていましたが、さっぽり売れないのでWeiboで宣伝してみようと、動画を撮り始めたんだって。
で、最初のうちは全然"流量"が稼げずにいたところ、少しずつ注目されるように。やがて撮影を手伝ってくれるパートナーにもめぐり逢い、高画質でセンスのいい動画が大人気になった。タオバオの通販も売れ始めた、っつーことらしい。
李子柒さんはYou Tubeチャンネルも開設しているので、癒されてみたい人はのぞいてみるといいよ。ちうごくのイメージ変わるかも。Facebookもやっているようですね。
まあ民族衣装っぽい服をわざわざ着て農作業してるあたりは、"国潮"(大陸版ルネッサンス、伝統回帰ブームのこと)に乗っかってる感じもしますけど…たまたまただよね、うん!
"網絡大咖"、"大V"とは?
これも大陸発の新語です。ってか"大咖"はもともと香港、台湾などで"big cast"(大物出演者)の意味で使われてたコトバでした。それに"网络"をくっつけて、ネットの大物出演者になりました。やはりネットセレブ、インフルエンサーと同じ意味で使われるようになりました。
まあ流行語ですね。日本の外来語のカタカナ語っぽい感覚なのかな?
"大V"というのはWeibo用語です。一定数の"流量"、フォロワー数、「いいね」数などを稼ぎ、Weiboに貢献しているアカウントに与えられる称号みたいなもん。アカウントのアイコンに「V」マークが付きます。
Weiboは大陸SNS文化の先駆け的存在なので、"大V"は絶大な権威を持っていました。でも、その後やはりアイコンに「V」マークを付与するサイトが登場したり、「Weiboの"流量"、フォロワー数、「いいね」数はカネで買える」というイメージが定着してしまったりして、往年ほどの権威はなさそう。
それでも"大V"="网红"みたいな感じで使われているみたいよ。
またKOL=Key Opinion Leader="意见领袖" というコトバもありますが、これはビジネス的、マーケティング的な目線で"网红"を捉えた言い方です。ビジネス的に"意见领袖" はをインフルエンサーの一種として扱っています。
コトバは生き物です。上記はあくまでも現時点で主流の言い方です。