毎日一語、中国語~上海協力機構
まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます
上海協力機構 (Shanghai Cooperation Organisation /SCO)
しゃんはいきょうりょくきこう
2001年に発足した多国間組織のこと。
1989年の天安門事件、1991年のソ連崩壊を経て、1996年に「上海協定」に調印した「上海ファイブ」が前身。この際、中国が提案した「上海精神」から上海協力機構と名付けられた。
当初の目的はソ連崩壊によって複雑に入り組み不安定になった国境の警備、武装勢力への対処であり、西側諸国からはNATOに対抗する軍事同盟とみなされている。
いっぽう2001年の「上海協力機構成立宣言」は「各加盟国の協力が新たな発展段階に入った証であり、時代の潮流、地域の現実、各加盟国国民の根本的利益に合致する」としており、経済協力重視の内容になっている。
加盟国は
- 中華人民共和国(創設国、上海ファイブ)
- ロシア(創設国、上海ファイブ)
- カザフスタン(創設国、上海ファイブ)
- キルギス(創設国、上海ファイブ)
- タジキスタン(創設国、上海ファイブ)
- ウズベキスタン(2001年加盟)
- パキスタン(2017年加盟)
- インド(2017年加盟)
の8か国。オブザーバー国は
の4か国。対話パートナー国は
- アルメニア(2015年に参加。トルコと緊張関係にある)
- アゼルバイジャン(2015年に参加)
- カンボジア(2015年に参加。ベトナム、フィリピンと隣接)
- ネパール(2015年に参加。インドと緊張関係にある)
- スリランカ(2009年に参加)
- トルコ(2012年に参加)
の6か国。この他、トルクメニスタン、エジプト、イスラエル、イラク、シリア、サウジアラビア、バーレーン、カタールなどが参加を希望しているとされる。
上海協力機構は毎年総会を開催し、安全保障のみならず、政治、経済、エネルギー、環境保護、文化、教育などを議題としている。2005年、2007年、2014年には対テロ合同軍事演習を実施した。
中国北京に事務局を、ウズベキスタンのタシケントに地域対テロ機関を置く。事務局長は加盟各国が3年ごとに持ち回りで就任する。
上合组织 /上海合作组织
"上海合作组织"は大修館書店『中国語新語 ビジネス用語辞典電子版Ver.3.0』と愛知大学『中日大辞典』に載っているのですが、縮め形の"上合组织"を載せたかったので書きました。こういうのって急に言われても分からないんですよ。"朝核问题"="北朝鲜的核开发问题"とかね。
報道によると、アメリカは2005年にオブザーバー参加を要請して却下されたとか。参考:Shanghai surprise | China | The Guardian
日本は安倍首相時代に参加表明を期待されていたらしいです。
この中央アジアの国がひしめいているあたりは、一帯一路構想の「帯」=シルクロード経済ベルトとも重なっていて、上海協力機構=一帯一路モデル地域とされています。
2006年に麻生外務大臣提唱し、第一次安倍内閣が実践しようとした「自由と繁栄の弧」とかぶるんですよねー。一帯一路は自由と繁栄の弧のパクリだと、個人的には思ってます、はい。
それにしても、仲の悪そうな国がぎゅうぎゅう詰めになっていて大変な組織ですね。発足したのは江沢民さんの時代でしたが、この組織を今日まで存続させているのはすごい。2020年11月にも、オンラインで首脳会議を行っています。
お題目は多国間協力ですが、どこからどう見ても「中共とその取り巻き」と言った感じ。まあロシアとインドはちょっと違うかもしれないけど。
2021年3月30日には、現在の事務局長であるウズベキスタンのノロフ外相が新疆ウイグル自治区を訪問。在中国大使や外交官とともにウルムチ、カシュガルなどを視察して、西側諸国の非難はデマ、新疆は平和そのものだと表明したそうですよ。
参考:外交部:上合组织秘书长及20余国驻华使节正在新疆参观访问(「中国外交部 上海協力機構事務局長と20か国余の在中国使節が新疆を訪問中」2021-04)
同じトルコ系でムスリムの近隣国がウイグルの人達を助けない理由は、上海協力機構から排除されたくないからかもしれません。
参考:逃げ場失うウイグル族、中国にすり寄るトルコ(ウォールストリートジャーナル 2021-02)、トルコで広がるウイグル狩り──中国の「ワクチンを送らない」圧力とは(ニューズウィーク 2021-03)
コトバは生き物です。上記はあくまでも現時点で主流の言い方です。