毎日一語、中国語~劇場公開映画の盗撮動画(違法動画)
まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます
劇場公開映画の盗撮動画(telesync)
げきじょうこうかいえいがのとうさつどうが
映画館にビデオカメラなどを持ち込み映画本編が上映されているスクリーンを撮影した映像と、座席付属のイヤホンジャックなどを通じて録音した音声を合わせて作られた海賊版動画のこと。
わが国では映画館での盗撮は法律で禁止されている。たとえ私的利用であっても違法。
しかしそんな荒っぽい方法で撮った映画なんて視聴に堪えるんだろうかと思っていましたが、今や撮影機器の性能向上によって、そこそこなレベルらしいですよ。
ts版 /枪版
"ts"は盗撮(To Satsu)の略というワケではなく、英語の"telesync"の略のようです。
つまり
- ビデオカメラやスマホなどを映画館に持ち込んで、客席から上映中のスクリーンを撮影する
- ユニバーサル対応の映画館で、目や耳の不自由な人向けに用意された音声サービスのイヤホンジャックを通じて、映画音声をダイレクト録音する
という方法でつくられた動画のこと。
いまだに中国大陸での上映日未定の「鬼滅の刃」の映画なんぞは大陸ネットで大量公開されているのですが、そのリンクに"ts"と書いてあったりします。
"枪版"は"ts版"の上位概念で、ハンディ式のビデオカメラによる盗撮という意味。音声はビデオカメラのマイクで映像と同時に録音したものも含みます。なぜ"枪版"かと言うと
- "抢先"の略。"抢先"は「先を越す」の意味。大陸での公開に先行して("抢先"して)ネットに公開されているから。(しかし"抢"と"枪"はよく見ると字が違うので、この説は怪しい。)
- 小型のビデオカメラを構えてスクリーンを狙う姿が"枪手"(射撃主)に似ているから。
という説があります。
"枪版"は、またの名を"cam版"とも言う。この"cam"は、'90年代に一世を風靡したSONYの「ハンディカム」から来ているらしい。
さらに"tc版"というのもありまして、これは上映用フィルムからデジタルコピーした海賊版です。関係者の協力がないとムリなやつ。
まとめますと、画質については、"tc">"ts">"cam"となります。
それにしても、違法動画をそこまで細分化しているとは、さすが海賊版大国。少し古いデータなんですが、こんなのを見つけました。
アジア地域における海賊版被害の拡大(文部科学省)をもとに作成
大陸、すごい!90%が海賊版です。まあ台湾もなかなかですが。
これは音楽ソフトのデータなので、映像だともっと酷そう。でも20年前ですからね。今は所得水準も上がって、だいぶ改善してるんだと思いたい。
で、法律上はどうなってんの?と言うと、一応罰則はあります。
关于办理侵犯知识产权刑事案件适用法律若干问题的意见(「知的財産権侵害刑事事件の法律適用処置についての若干の問題に関する意見」中華人民共和国最高人民法院)
で、一般人民は認識してんの?と言うと、一応はそれとなく認識しているみたい。でも実際に捕まったり、処罰されたりする例はほとんどないことから、相変わらず無法地帯っぽいですね。
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編のBlu-rayが、6月に発売されますが、これ、出たとたんに"DVD-Rip版"で大陸ネットが埋め尽くされると思う!
コトバは生き物です。上記はあくまでも現時点で主流の言い方です。