しーらかんす式

音楽と日本語と中国語のブログ

毎日一語、中国語~ヘイトクライム

まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます

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ヘイトクライム憎悪犯罪(hate crimes /hate incidents)

人種、民族、国籍、性差など簡単には変えられない属性を持つ者に対する憎悪や偏見を動機とする嫌がらせや暴力など犯罪行為のこと。

クライムとは犯罪のことであり、犯罪とは法律違反行為のこと。よって、ヘイトクライムの定義は国や法律によって異なる。また、ヘイトクライムを規制する法律(以下「ヘイトクライム規制法」)がない国で「その行為はヘイトクライムにあたりますよ」などと言うのは間違い。

ヘイトクライム規制法の制定を、言論の自由に対する侵害として反対する声も少なくない。宗教上の信条を制限する可能性も指摘されている。

 

わが国には2016年の障碍者差別解消法、部落差別解消推進法、ヘイトスピーチ解消法があるが、これはマイノリティー差別に特化した法律なので、ヘイトクライム規制法とはカバー範囲が異なります。

これとは別に、1995年に国連の「人種差別撤廃条約」に参加しましたが、こちらは国際法なので破っても逮捕はできません。参考:人種差別撤廃条約(外務省)

 

 

 

仇视犯罪 [chóuhèn zuìxíng]/仇恨罪行 [chóushì fànzuì]

"犯罪""罪行"は入れ換え可。"罪行""犯罪行为"の縮め形です。

"仇恨"は憎み恨むこと。"仇视"は仇敵として見ることです。

"仇视"に似た言葉で

  • "敌视" 敵視する
  • "歧视" 蔑視する

というのもありますが、"仇视"は憎しみのレベルがワンランク上な感じ。仇(かたき)ですからね。

さて、ヘイトクライム規制法のような法律が中国大陸にあるのか?と言うと、ちゃんとあります。

第二百四十九条【煽动民族仇恨、民族歧视罪】

第二百五十条【出版歧视、侮辱少数民族作品罪】

第二百五十一条【非法剥夺公民宗教信仰自由罪】【侵犯少数民族风俗习惯罪】

法库云より引用

  • 249条 民族憎悪、民族蔑視を扇動した罪
  • 250条 少数民族を蔑視、侮辱する作品を出版した罪
  • 251条 公民の宗教信仰の自由を違法に剥奪した罪、少数民族の風俗習慣を侵害する罪

実情はともかく、法律だけ見ると大陸は日本より進んでる。ちっとも守られてないのは、この法律よりも習近平思想が優先されるってことでしょう。

いっぽう、台湾立法院は、国連の「人種差別撤廃条約」に基づき、"防治仇恨罪條例"ヘイトクライム防止条例)の草案を提出しましたが、いまだ採択されていないようです。

 

2021年、米国では長引く新型コロナの影響に起因するアジア系住民に対するヘイトクライムがニュースになっていますね。報道では「チャイナウイルスを煽ったトランプが原因!」と言っていますが、アメリカ人って、だったらアジアとチャイナを区別してもらいたい!

あと、日本が人種差別撤廃の国際条例に参加しながら、国内では相当する法律がないのは、やはり矛盾してますね。ただ、このへんの法律整備を訴えている議員さんのメンツを見ると、どうにも胡散臭い感じがー。

  

 

コトバは生き物です。上記はあくまでも現時点で主流の言い方です。