毎日一語、中国語~gdtd(ネット用語)
まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます
gdgd(ぐだぐだ)ではありません。今回は中国語がタイトル。このところ中国大陸のネットでよく見かける文字列です。
ヒント
さて何のことでしょー。
中国共産党に抵抗する香港人と台湾人
大陸人民にとって積年の仇敵=日本だと思っていたんですが、このところは少々勝手が違っています。いや、もちろん日本敵視は根強いんですが、新たな敵として一部の香港人と台湾人が追加でロックオンされました。
香港の一国二制度とは
1997年に英国領でなくなった香港に、中国共産党は「向こう50年間は香港の高度な自治を認める」と約束しました。つまり、2047年まで大陸とは違う政治制度(民主主義、言論の自由あり)でいいですよ、ということ。
ところが、中共政府がその約束を違えて各方面から締め付けを強めているので、香港人は反発しているんです。だからこそ2019年、逃亡犯条例の改正に反対するデモに200万人もの人たちが集まりました。
とはいえ、民主化を訴える人たちの中にも
みたいに程度の差があるように思います。
いっぽう台湾については与党民進党とその支持者など、「ひとつの中国」を認めない人たちのこと。
以上のような人々が"gdtd"です。
gdtd /gdtd分子 /港独分子、台独分子
"gdtd"はSNSやBBSに飛び交っているネット用語。正式には"港独分子"、"台独分子"、つまり「香港、台湾の独立を企てている輩」です。ここに、さらに"zd"("藏独"="西藏独立分子")を追加して、"gdtdzd"とする場合もあります。"zd"は「チベット独立分子」のことで、もちろんダライ・ラマ14世さんやその支持者のこと。
"分子"のニュアンス
日本語でもそうですが、"〇〇分子"は批判的な色彩が強い印象。通常なら"〇〇派"、尊重する感じで言いたいなら"〇〇人士"を使います。ただし絶対ではありません。"〇〇狗"、"〇〇贼"であれば、あきらかな侮蔑表現ですけどね。
香港200万人デモに参加した人たちの個々の主張がどうであれ、大陸にとっては一律で"港独"です。そして香港警察の暴力行為を批判した台湾の蔡英文総統も、"台独"と併記されているわけです。
中共政府、ブラックリストを準備中
日本では産経新聞くらいしか報じていないようですが、中共政府は現在、"港独台独分子"リストを作成中。
参考:中国、国際的な監視リスト作成か-香港と台湾の活動家は警戒呼び掛け(ブルームバーグ 2020-11)
活動家、政治家、知識人のみならず、企業や芸能人にいたるまで"港独台独分子"をリスト化しようということ。おそらくもうとっくに完成しているんでしょうが、正式には公開されていません。
そのため大陸ネット民達は力を合わせて"gdtd"の情報を収集し、独自のリストを公開したりしています。2010年の尖閣漁船衝突事件の時もやってましたが、リストに載っている企業や芸能人をボイコットしよう!という動きが起きています。
で、日々いろいろな企業や芸能人がやり玉に挙がっています。興味ある人は"gdtd 名单"でググってみてね!あ、"名单"は簡単字のほうがいいですよ~。
香港、台湾の歌手や俳優は、大陸に行かないと儲からないので、これは問題になりそう。
愛国者の怒りがMollyに飛び火
ちょっと面白かったのはトレーディングフィギュアで大儲けしているPOP MART。看板商品であるMollyの原作者、ケニー・ウォンさんが「実は"港独"だった」と見なされたらしく、愛国ネット民達はMolly不買!Molly買ってるヤツも"港独"!と訴えています。
でもまあPOP MARTの株価は高止まりで好調なんですけどね(2021年3月1日時点)。
コトバは生き物です。上記はあくまでも現時点で主流の言い方です。