しーらかんす式

音楽と日本語と中国語のブログ

毎日一語、中国語~レッドリスト

まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます

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レッドリスト(IUCN Red List /The IUCN Red List of Threatened Species)

国際的な自然保護NGO、IUCN=国際自然保護連合がまとめた、すでに絶滅した生物と絶滅するおそれのある生物の一覧表のこと。

生物多様性を確保するための基準として、各国で使用されている。掲載されている128,500種以上のうち、35,500種が絶滅危惧種である。

レッドリストに掲載された生物の情報を詳細に記載したものをレッドデータブックと言う。 

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大陸
IUCN红色名录 [IUCN Hóngsè Mínglù] /世界自然保护联盟 红色名录[Shìjiè Zìrán Bǎohù Liánméng Hóngsè Mínglù]

台湾
瀕危物種紅皮書 [Bīnwēi Wùzhǒng Hóngpíshū] /國際自然保育聯盟 瀕危物種紅皮書[Guójì Zìrán Bǎoyù Liánméng Bīnwēi Wùzhǒng Hóngpíshū]

日本語で「〇〇連合」と呼ぶ組織を、中国語では基本的に"〇〇联盟"と言います。EUヨーロッパ連合ASEAN東南アジア諸国連合AU=アフリカ連合労働組合連合とか、全部"〇〇联盟"です。

これは"联盟"が名詞であるのに対して、"联合"は動詞にもなる単語だからだと思うんですね。だから日本語訳がヘンだと言われている「国際連合」(United Nations)は"联合国"です。

日本では連合と連盟を厳密に区別してない感じですが、中国語はそのへんきっちりしてますな。

あと興味深いのは、台湾ではIUCNを"自然保育聯盟"としているところ。"保育"って、子供に対して使う言葉だと思っていたら、もっと大きな意味がありました。

『保育』是指人類對生存環境的管理,以獲得現代人類最大永續的福祉,並維持環境潛能去符合未來世代的需要及願望(台湾教育部)

「保育とは、人類が生存環境を管理することで、現代人類の最大で持続可能な福祉を獲得するとともに、環境ポテンシャルを維持して未来世代のニーズと願いに適合させることを指す」

 なるほど納得。

 

実はいろいろあるレッドリストレッドデータブック

IUCN=国際自然保護連合は、冒頭に「国際的な自然保護NGO」と書いた通り、国連の機関とかではなくて民間の非営利団体です。

数ある自然保護団体のうち、IUCNは有力な組織なのか、IUCNのレッドリストは各国から重視され、参考にされています。

ところが各国は各国で、それぞれのレッドリストを作っていることが多く、日本では環境省版、水産庁版のレッドリストレッドデータブックが存在します。さらに各都道府県でもレッドリストレッドデータブックを作っていて、それぞれ微妙に違っていたりします。

たとえばセンカクモグラは、IUCNのレッドリストでは

  • VU 絶滅危惧Ⅱ類  絶滅の危険が増大している種

ですが、環境省レッドリストでは、さらに2段階高い

  • CR 絶滅危惧ⅠA類 ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの

になっています。

現地の事情は現地の人のほうが理解してますからね。っても尖閣諸島には上陸できないからねぇ;;

  センカクモグラゆるキャラ化されたそうです。かわいいw

参考:センカクモグラを守る会

 

また、IUCNがレッドリスト

  • EX 絶滅 その国ではすでに絶滅したと考えられる種

と認定した生物が、再び発見されて、1段階下がることもあります。少し前、さかなクンさんが「EX、絶滅」認定されていたクニマスを発見したことが話題になっていました。

 

大陸の自然保護と絶滅の危険がある生物

大躍進で自然破壊の限りを尽くしてしまった大陸にも、ちゃんと環境保護団体が存在します。

中国生物多样性保护与绿色发展基金、通称"绿会"です。とは言え中国共産党の下部組織の下部組織ですが、昨今は緑化に励んでいるようです。

近年、よく知られているのは長江の"白鱀豚"[Báijìtún]ヨウスコウカワイルカ)です。

IUCNのレッドリストでは

  • CR 絶滅危惧ⅠA類 ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの

とされていますが、ここ数年目撃されていません。国家プロジェクトである三峡ダムや工場廃水が原因とされています。

ヨウスコウカワイルカは、《中华人民共和国野生动物保护法》(野生動物保護法)によって国家一级保护动物(国家一級保護動物)の2等に指定されています。

ちなみに1等は

です。どれも希少な生物という印象ですが、水族館でも繁殖例の少ないヨウスコウカワイルカよりもパンダやキンシコウのほうが上なんか!

ヨウスコウカワイルカについては、大陸でも話題になっていて、たまに「やっぱりいた!」などと目撃例が報道されています。しかし実際には長江スナメリ(江豚)の見間違いだとか。

ヨウスコウカワイルカと長江スナメリ

長江の水は汚染やら泥やらでヒジョーに濁っていることもあり、見ただけではよく分からないんでしょうけど、そもそも大陸人民って生物の細かい分類を気にしてない気がする。たとえばセミなら「セミ」と言うだけで、アブラゼミだのツクツクホーシだの知らないし気にしてません。専門家なら識別できることでも、一般人の目撃情報となると心もとないよね。

 

すべての種はいずれ滅びるものですが、近年の絶滅スピードはやはり異常ですね。全部人類が悪いよ。まあ人類もいずれ滅びますが、その後でもっとタチの悪い種が地球に出現しないことを祈る。

 

 

コトバは生き物です。上記はあくまでも現時点で主流の言い方です。