しーらかんす式

音楽と日本語と中国語のブログ

毎日一語、中国語~長草くん(キャラクター)

まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます

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長草くん(Budding Pop )

ながくさくん

大陸が誇る人気キャラクター。

 f:id:coelacanthidae:20210211183304j:plainBaidu.com

 2013年12月に山東芸術学院の学生、劉晶晶さんが、大陸のミニブログ、Weiboに投稿したイラストが始まりとされる。漫画、フラッシュアニメなどの形式で様々なAppに進出。大陸のSNS、QQとWeChatで最も人気のスタンプである。

2019年ごろから日本にも進出していて、ファンシー系のグッズを販売したり、バンダイ、GU、東京タワーなどとコラボしている。一人称が「ぼく」なので♂らしい。

長草くん 日本公式オンラインショップ - FACTORICH ファクトリッチ

公式オンラインショップ、見てみたらグッズがけっこう高ぇ!

ゆめの国からやってきたようせい。
人のゆめがうまれる時、長草くんもうまれます。

長草くん 日本公式オンラインショップ 「長草くんとは」より引用

ゆめって中国之夢のこと?

 

最初見たときは、LINEかなんかのキモキャラかな、それにしても(´・ω・`)のパクリじゃん、と思っていたら、大陸ではかなり知名度の高いキャラなんですね。しかもファンシー&メルヒェン路線まっしぐらなんだね。公式グッズが大陸の女子やキッズ達に大人気らしいですよ。

でもね、いくらファンシーな動作とかされても(´・ω・`)がやってるようにしか見えなくて、なんかのネタとしか思えないよ。あと、さくらももこ先生が描く狂気をはらんだイラストの隅っこに登場してそう。

 

 

 

长草颜团子 [Zhǎng cǎo yán tuánzi] /长草颜文字 [Zhǎng cǎo yán wénzì] /白团子 [Bái tuánzi] /团子 [Tuánzi]

"长草"は「長い草」ではなく「草が生えた」の意味と思われる。よって"长"[cháng]ではなく[zhǎng]と読むべきだが、そのへん、わりと曖昧っぽい。何しろ日本名が「ながくさ」だし。

長草くんがインスタントメッセンジャーの絵文字から発生したキャラであることから、別名の"颜文字"は、日本の「顔文字」から来ていると思われる。

"团子"は、もち米とかトウモロコシの粉を固めて煮た球状の食べ物のことであるかもしれないし、日本のだんごのことであるかもしれない。"白团子""团子"は長草くんファンによる愛称。

 

長草くんは大陸でものすごく人気

長草くんのライセンス所有者は、大陸産キャラのライセンス商品を手がける"北京十二栋文化"。なかなか多彩なグッズを販売している。FUJI FILMとコラボしたInstax Mini長草くんバージョンというのもあったらしい。

2019年、長草くん5周年を記念するバースデーイベントのチケットは1分で完売、天猫で販売された5周年記念グッズは30分で完売し、いずれも高額で転売される事態になった。このリアルイベントの写真を見たら、大きいおともだち(男性)もけっこういた!

この大陸での人気を当て込んだか、2019年、GUがグラフィックTシャツ「CHINESE FAMOUS CHARACTERS」を企画。長草くんのTシャツを販売した。

 

f:id:coelacanthidae:20210211183246j:plainwww.atpress.ne.jp

なんつーか、どれも既視感あるなぁ。デザイン的にはアヒルが一番いいんじゃないの?でも名前、ないのか。

 

盗作疑惑が持ち上がるも……

長草くん、台湾の既存キャラと酷似?

国民的人気キャラとして乗りに乗っていた長草くん。このところ、大陸政府が国産キャラの育成に力を入れていたこともあり、"中国品牌授权联盟"(中国ブランドライセンス連盟、2017年設立)の中国ライセンス金星賞2018にノミネートされた。

ちょうどその頃、長草くんの作者、劉晶晶さんが山東芸術学院の卒業制作として描いたイラスト集、《长草颜团子:这只梦想是毛茸茸的》に騒動が勃発。この本のキャラ(つまり長草くん)が台湾のブロガー、賴賴&織織のキャラクター、Chichi(織織)の盗作だとして、「顔文字ファン」達が山東芸術学院に対し、集団訴訟を起こしたというのだ。

すでに大人気でグッズも大量に売られているキャラなのに、なぜ卒業制作を訴えたのか?訴えたのが、なぜ賴賴&織織ではなく「顔文字ファン」による集団訴訟なのか?訴えられたのも、なぜ長草くんの作者ではなく学校なのか?詳細は不明。

不思議なことに、報道が見つからないんですよね。下はセルフメディアの記事。

xw.qq.com

ともかく、長草くんのライセンサー、十二棟文化(十二栋文化)は、記者会見を開き、長草くんの金星賞2018ノミネートを辞退しました。

でも、2019年には、優秀ライセンス商品販売賞を受賞しているようです。変なの。

参考:十二栋携长草颜团子获2019CLE优秀授权产品零售商奖-站长之家

 

台湾のキャラ、Chichiとは?

大人気の長草くんに盗作疑惑が持ち上がったことで、大陸の長草くんファンは大騒ぎ。Chichiとの比較検証記事がネットに掲載されました。

 

左がChichi、右が長草くんです。

まあ、一緒ですね。っても、どっちも (`・ω・´) に見えますけどね。

Chichiは台湾の人気ブロガー兼イラストレーター、織織さんが2008年に考案したキャラクターだそうです。いっぽう長草くんは2013年に誕生しました。

大陸ネット民も、これは明らかな盗作と感じたみたいですよ。そもそもChichiも日本の (`・ω・´) の盗作だと指摘する物知りさんもいました。けど (`・ω・´)は知的財産権を所有してないから今回は関係ないそうです。

参考:国产表情包竟陷抄袭风波,孰是孰非?-看点快报

 

で、このように2019年ごろには盗作疑惑で波紋を呼んだ長草くん。その後は通常通り商業活動を続けているし、訴訟に関する続報も見当たりません、どうなってるんだろ??

 

賴賴&織織はどう思ってるの?

ねー。作者さん、なぜ沈黙しているんでしょう?と思ったら、Chichiの作者、織織さんも大変なことになってたんですね。

台湾の人気ブロガー、賴賴&織織とは

賴賴&織織とは、賴賴(男性)と織織(女性)による美男美女ブログチームのこと。このお二方は、フェイスブックで派手に顔出ししています。モデルばりの美麗写真や水着ショットなんかも公開していて、ちょっとお騒がせなカップルなのかな?イラストレーターの織織さんは、スタイル抜群の美人さん。

Chichiにも盗作騒ぎが??

その織織さん、2012年に、あるキャラを名指ししてChichiの盗作だとフェイスブックに投稿していました。そのキャラとは、社会局早療センターのマスコットキャラ、母子雞(母子ニワトリ)。

参考:臺北市政府社會局早療通報轉介中心

社会局早療センターは、台北市政府の下部組織で、幼児の健全な発育を支援する公共機関です。

左が賴賴&織織のChichi、右が社会局の母子ニワトリ。

えっと、どこがニワトリなのかな?白いほう。

 

ところが、母子ニワトリは2007年から社会局早療センターの公式サイトに登場していたことが判明。織織さんがChichiをブログに初投稿したのは2008年でした。

参考:臺北市政府社會局-新聞稿-早療母子雞識別標識為社會局原創 特此澄清以正視聽

 

これに対し、織織さんは「Chichiの方が早かった証拠がある。なぜなら私の父は社会局の顧問をしているから資料を入手できる。でもブログが荒れるのはイヤだから、この件はここまで」と投稿。

これを読んだネット民は「父親が偉いからなんだって?」、「どっちが先にしろ非営利団体のマスコットキャラを巻き込むのはよくない、自分はイラストやブログで稼いでるくせに」と批判。

なんかいろいろあったんだね……。そんな経緯もあって、長草くんには文句言わなかったのかな。

 

ともあれ、(`・ω・´)とか(´・ω・`)みたいなキャラは、他にもいっぱいいるし、(`・ω・´)みたいなものがファンシーグッズとして大ヒットしているのがサッパリ分からん。トレーディングフィギュアに続き、大陸で何が流行るのかは神のみぞ知る、と思いました。 

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長草くんのぬいぐるみ

これは (`・ω・´)のほう。

 

コトバは生き物です。上記はあくまでも現時点で主流の言い方です。