しーらかんす式

音楽と日本語と中国語のブログ

毎日一語、中国語~実写版〇〇

まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます

f:id:coelacanthidae:20201115105431j:plain

実写版〇〇/リアル〇〇(live action

小説、漫画、アニメ、ゲームなどを原作として、そのキャラクターや物語を、俳優が演じている作品のこと。ただし「実写版」という言葉を使う場合、その原作はほとんどが漫画。

  • 漫画が人気になる→アニメ化→アニメが人気になる→ゲーム化→実写化

という流れが一番多い気がする。漫画家さんは創造主=神です!

もちろん、ゲームを原作とした実写版ドラマも存在するが、漫画よりも少ない感じだし『バイオハザード』シリーズみたいに映画が大ヒットしてしまうと、もう実写版とは呼ばれない。

尚、公式(実写版制作サイド)が「実写版」という言葉を使うことは、ほとんどない。また、小説など文字のみの作品を実写化した作品は、単純に映画(版)、ドラマ(版)と呼ばれます。

 

 

 

〇〇真人版 [zhēnrénbǎn]

もともと中国語には"翻拍"[fānpāi]"翻版"[fānbǎn]という言葉があって、これは辞書にも載っています。意味はどちらもリメイク、焼き直しみたいな感じ。具体的には

  • 翻拍 俳優が演じる。でも漫画→実写版に限らない。昔のドラマや海外ドラマのリメイクも翻拍。
  • 翻版 実写のみならず、あらゆるリメイク版に使う言葉。誰かの曲のカバーしたもの="翻唱"[fānchàng]も翻版の一種。

みたいな感じ。

しかるになにゆえ"真人版"なる言葉が使われるようになったかと言うと、やはり日本の影響なんではないかと思うんですね。中国語圏に見る"真人版电影"は、漫画やアニメ、しかも日本の漫画やアニメの実写版を指すことがほとんどなので。つまり"真人版"=「実写版」の中国語訳だと私は思います。

この"真人版"、実は小学館日中辞典の「実写」の項に

  • 実写映画 "真人版电影"

と掲載されています。なのにこの「毎日一語」で取り上げたのは、中国語圏で"真人版"が独り歩きし始めているからなんですねー。

リアル〇〇的用法

それが日本語のほうに書いた「リアル〇〇」です。現在、大陸のみならず、中国語圏、欧米でコスプレが人気ですよね。もちろん「や~め~て~」みたいなコスプレイヤーさんもいらっしゃいますが、中にはものすごい完成度の人もいるようです。そういう人気コスプレイヤーさんを称える時にも"真人版"を使います。

〇〇を再現してみた的用法

ゲームやアニメ、漫画などの有名な一場面を、チューバーさんが演じて再現した動画、ありますよね?あーゆーものにも"真人版"が使われています。たとえば有名なアニメのオープニングを再現してみたり、ゲームの戦闘シーンを再現したみたり、おふざけ的なものから真剣にやってるものまで様々です。こういうの目にすると、大陸オタクさん達に親近感を覚えそうになる。

という具合です。"真人版"の使用範囲は、今後も拡大、変化していきそう。

日本語の「実写版」と同じ用法

大陸のNo.1検索サイト百度"真人版 漫画"を検索すると、『銀魂』と並んで最初にほうに出てくるのがこれ。

実写版『ヒカルの碁』~棋魂

大陸最大の動画サイト、iQIYIが2020年に制作したネットドラマ

原作は週刊少年ジャンプ(1999年に連載開始)の漫画『ヒカルの碁』です。日本では、アニメ化、ゲーム化、ノベライズなどのメディアミックスが行われましたが、実写版は制作されなかったんですねー。原作のほうも、なんか某国のクレームに屈して途中から変な感じになって終了した記憶が…。

f:id:coelacanthidae:20210123122053j:plainnew.qq.com

 

で、大陸版ヒカ碁がこちら!

f:id:coelacanthidae:20210123122048j:plainnew.qq.com

 

上から順番に、佐為、ヒカル、アキラとなっております。全36話。

舞台を大陸に変更しており、佐為も中国南北朝時代南朝、宋の文帝の時代からやって来た?化けて出た?ことになっています。キャラ名も中国独自にリネームされています。でもその他の設定はほぼ一緒、「神の一手」なんかのキーワードも、そのまま使われています。

制作、配信元のiQIYIでは、かなりの高評価を獲得していましたが、原作崩壊!など辛辣なコメントもありましたね。原作からのファンで原作愛が強い人ほど受け入れられないっつーか、そういうとこは日本も大陸も変わらんね。

中でも面白かったのが、佐為のキャラ作りに対する酷評。「原作にないセリフが寒い、薄い」「メイクが濃すぎ。東方不敗にしか見えない」とか、さんざんな言われようです。私は見てないんで何とも言えませんが、まあ東方不敗は大好きです。

東方不敗とは、繰り返し映画化、ドラマ化されている武侠小説の金字塔、『笑傲江湖』に出てくるものすごく強いんだけど変態ちっくなオネエキャラのこと。

 

大陸産アニメの実写版

ここんとこ大陸政府が頑張っている国産アニメでも、続々と実写版が制作されています。っつても私も含め知らない人がほとんどだと思われるので、日本で放映なり配信なりされたものだけ書いてみます。

『マスターオブスキル 全職高手』

原作はライトノベル。その後漫画化、アニメ化、ゲーム化され、実写版も制作された人気作品。eスポーツの凄腕プロゲーマーが主人公。

f:id:coelacanthidae:20210123160130j:plainBaidu.com

『魔道祖師』

原作はライトノベル。ラジオドラマ化、漫画化、アニメ化、ゲーム化され、実写版も制作された人気武侠小説。古代中国を舞台に、妖怪や魔物や仙人なんかが戦うバトルファンジー。実写版は《陈情令》にタイトル変更されている。内容もかなり違うらしく原作ファンには不評。

f:id:coelacanthidae:20210123160134j:plainBaidu.com

蒼穹の剣』

原作はライトノベル。後にアニメ化、ゲーム化されたアクションファンタジー時代劇。

f:id:coelacanthidae:20210123160141j:plainBaidu.com

Spiritpact

原作はWeb漫画。SFファンタジーBL?みたいな内容。BLって大陸ではOKなの?時代は変わってるってことですか?

f:id:coelacanthidae:20210123160145j:plainBaidu.com

『鏢人 -BLADES OF THE GUARDIANS-』

原作は漫画。「日本漫画界を席巻した中国産コミック」らしいが、知らんかった。子連れの賞金稼ぎが主人公のハードボイルド武侠漫画だそうです。日本の読者、別の時代劇と勘違いしてたんじゃない?

f:id:coelacanthidae:20210123160148j:plainBaidu.com

《秦時明月》

原作は台湾の企業家兼作家、温世仁による未完の武侠小説をもとにしたテレビアニメ。始皇帝の大陸統一から秦の滅亡を通じ、成長する主人公の生きざまを描く。実写版は《秦时丽人明月心》にタイトル変更されている。
この作品は日本で発表されてないようですが、うちのクラスの中国人留学生に原作アニメのほうを強くおススメされた記憶があるので載せておきました。でもごめん見てないんだ……。

f:id:coelacanthidae:20210123160138j:plainBaidu.com

 

他にもいーっぱい見つかりましたが、キリがなさそうなので今回は以上!日本でも大陸でも、実写版には酷評がつきものってことだけは分かりました。

 

 

コトバは生き物です。上記はあくまでも現時点で主流の言い方です。