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毎日一語、中国語~グレート・ファイアウォール

まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます

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グレート・ファイアウォール(Great Firewall of China/GFW)

なんだかすごくカッコイイ名称だ…。

中華人民共和国政府がインターネット上に設置、管理する様々なネット検閲システムの総称。1998年ごろから運用されているらしい。

The Great Firewall of China: How to Build and Control an Alternative Version of the Internet

元ネタはこの本↑ではなく、WikipediaによるとCharles R. Smithさんという人の報告書だそうです。

 

 

GWF [Qiáng]防火长城 [Fánghuǒ Chángchéng]/中国国家防火墙 [Zhōngguó Guójiā Fánghuǒqiáng]网络长[Wǎngluò Chángchéng]功夫[Gōngfuwǎng] 

グレート・ファイアウォール金盾 [jīndùn] と説明しているサイトもあるが、金盾は中国公安局の情報共有・監視、操作システム=全国公安工作信息化工程のこと。要するに国内向け。グレート・ファイアウォールは海外への出口を監視するものなので、別ものと理解している。

グレート・ファイアウォールの訳語はいろいろあるが、中華人民共和国のネット民は、最初のふたつ、GWF(テキサスのプロレス団体ではない)またはを使うことが多い。

ご存知の通り、大陸ではGoogleYouTubeFacebookTwitterが使えないことになっているが、ネット民側も回避方法をいろいろ試している。というか、中国政府がわざと緩くしてデータを取っているというべきか。

中華製スマホには、簡単にYouTubeを見られるアプリとかが入っているようだし、まあなんだかんだでYouTuberになって儲けたい人民がフツーに存在している。YouTube動画のダウンロード方法を丁寧に解説するサイトも野放し状態である。

で、大陸ネット民が主に使用する語、GWFは本来は名詞。しかし動詞としても使われている。

たとえば、なんらかの方法でGWFを回避して、海外サイトを見ていたら、突如404エラーになってしまった場合

などと言う。

私も2000年頃、北京のアパートにてチャイナテレコムのブロードバンド経由でインターネットを利用していたが、さっきまで正常に閲覧できていた日本のサイトが唐突に404エラーになってしまうことがあった。当初は「あ、これが例の…」と当局との中国語会話をシミュレーションしたりしていたが、いったん回線を切って再接続すればたいてい復活していた。そんな時は

  • 好像恢复了 「直ったみたい」

でOK。

功夫という名称の由来についてはよく分からなかった。功夫には

  1. 中国武術のカンフー
  2. 時間をかけて努力すること
  3. 時間
  4. 才能、腕前

という意味がある。

また広東省福建省には、様々な茶器を駆使して、時間をかけてじっくりと茶を喫する習慣があり、これを功夫という。そこから、功夫は「時間と労力を費やしてじっくりと築き上げたシステム」の意味ではなかろうかと推測している。

いっぽう、あの手この手でグレート・ファイアウォールを回避して、海外サイトに接続する行為を翻墙 [fānqiáng](本来は「壁を乗り越える」の意味)と言う。

 

しかし、一般人にはFacebookTwitterを禁止しているくせに、中国政府の報道官の人Twitterで他国の政府に茶々を入れてますよね。矛盾してない?

 

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