しーらかんす式

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毎日一語、中国語~わら人形論法/ストローマン論法

まだ辞書に載っていない中国語の新語をひたすら書き連ねていきます

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わら人形論法/ストローマン論法(strawman fallacy)

国会が始まりましたね。
今回は、国会中継やニュース報道でちょくちょく見られるアレです。

わら人形論法とは

  1. 相手の主張をわざと曲解して、防御力ゼロ/攻撃力ゼロのわら人形を作り上げる
  2. そのわら人形をボコボコに攻撃し、一方的に勝利宣言をする
  3. 聞いていた人の中には「すげー、完全論破じゃん。この人こそ正義だね!」とだまされる人もいる。

…という論戦術のこと。「印象操作」とも言う。

 

 

稻草人谬误 [dàocǎorén miùwù]
稻草人论证 [dàocǎorén lùnzhèng]

中国にもわら人形があるのかって?
ありません。中華人民共和国は迷信の類を全否定してますからね。
稻草人は「カカシ」のことで無力無能な人の比喩です。

なるほど。だから英語は strawman なんですね。scarecrow だとちょっと有能そうだもんね。(?)

 

ところでわら人形ですが、古代中国にはあったんですよ!

天地不仁,以萬物為芻狗;聖人不仁,以百姓為芻狗。
天地之間,其猶橐籥乎?虛而不屈,動而愈出。
多言數窮,不如守中。

出典:老子『道德經』

中国オタクの皆さんはぴんときましたよね。
そう、「わらの犬」のくだりです。 

天地仁ならず、万物をもって芻狗となす。聖人仁ならず、百姓をもって芻狗となす。
天地の間、それ橐籥(ふいご)のごときか?虚して屈せず、動きていよいよ出る。
多言しばしば窮す、中を守るにしかず。


いいですね~。精神がパンクですね~。しーらかんす老子荘子が大好きなんです。

「仁」は孔子の教えのこと。諸説あるとは思いますが、「聖人」「多言」も孔子批判だと私は思いたい!

で、芻狗 [chúgǒu] は「わらの犬」のこと。ダスティン・ホフマンの映画にもありましたよね。

古代中国では祭祀のときに人の替わりにわらで作った人形や動物を神様に捧げたそうです。人の形なら芻人[chúrén]、動物の形なら芻靈 [chúlíng]と言い、祭祀が終われば燃やされたり捨てられたりしました。芻人は呪いの道具としても使われたとか。わが国のわら人形と一緒ですね。

 

大自然に「仁」なんてものはないから、
あらゆる物はわらの犬のように使い捨てにされる。
儒教の偉人にも「仁」なんてないから、
民はわらの犬のように使い捨てにされる。

 

あと、どういう意味か、興味ある方はググってくださいな。

 

[chú]馬や牛の飼料にするための秣(まぐさ)のこと。

 

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